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小説

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*** Chapter 09 闇の中の黒い獣 ***

 観察師区域の庭園の中心には、王宮の一部を思わせるほど荘厳な造りで、高床式の大きな建物があった。観察局局長の建物で七十名程の観察師たちが常勤していた。
 またそこは観察師たちの集会所で、会議や会食にも使われていた。
「アルモニロ村の件を話し合いたい」
 ロウが不可思議な波動を受けてから四日目の午後、監察局局長のスタナ・クレアグナから一部の観察師長たちに招集が掛かった。ロウは昨夜も光り輝く虹色の雲を見ていた。生命塊の光が長時間中空に留まることは今までにないことだった。
 昨日から今日の午前中にかけて、災禍、大害を得意とするアキア・シアギアと、侵略、戦禍を専門にするクヤシ・スカヤーネと、怪異、恐怖をこよなく愛するイクーユ・イアカムの三師長から内容が全く同じ報告が観察局局長のスタナの許に挙がっていた。
 事の起こりは、エタウイ県府の保安部から至急特便で観察局に届けられた忌(い)まわしい事件の記録だった。驚愕(きょうがく)の物語は全国に張り巡らされた伝播管網(でんぱかんもう)を瞬時に伝わり、観察局伝播室で受信し、記録分析室で再現された。情報源は一カ所だったが、あまりの事件に報告先を迷った分析師は、観察師長を特定できず同じ複製を三瓶造った。
 それぞれの報告瓶は直ぐに、アキア、イクーユそしてクヤシに記録分析処理室から報告瓶に収められ提出された。

更新日:2008-12-03 03:22:50