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7 …うん、なにせ急だったんだよね。

外回りから戻ると、
島さんが
佐和ちゃんを
会社に連れてきていた。

ほっとした反面、
佐和ちゃんの
あまりにもやつれた面持ちに
俺は胸が痛んだ。

佐和ちゃんは私服で、
着替えていない様子のTシャツを
涙で汚していた。
髪はくしゃくしゃだった。

なんだか一緒に泣きそうになってしまい、
二人で抱き合った。

「…佐和ちゃん可哀想!」

「…うう…」

佐和ちゃんは少し
俺にだきついてぐずったけれど、
俺のスーツをよごしてはいけないと
思ったみたいで、
すぐ離れた。

「ツルさん説明義務違反だよ。
いきなりこんな、さあ。」

そう言って佐和ちゃんの頭をなでなでした。

「…佐和ちゃん、終わるまでまっててよ。
じきだからさ。
帰り、俺と二人でごはんたべよ?」

佐和ちゃんは
うなづいてくれた。

俺はチラっと島さんと目を合わせた。
島さんはさりげなくうなづいた。


更新日:2009-06-11 11:47:48

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