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小説

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白川老人

 既に、高校生活は始まっていた。香月は高校生になった。香織も同じE高校に入学。香月と香織の交際も始まっていた。見違えるほど明るくなった香月は、今やクラス委員長を務め、拓さんの友達に囲まれる毎日であった。取り分け香織の存在も目立って、香月、香織のカップルは同級生もうらやむ間になってもいた。
 春のレースで、香月は早くも1000キロレースに参加。3羽記録鳩を出した。ピン太号も1000キロを記録した。
「いいかね?香月君!君の鳩は短距離、中距離ではこの4期とも素晴らしい成績なのに、700キロ、1000キロレースは入賞していない。本来はきっと中・長距離で活躍できる筈なんだ。この原因は・・」
「原因は?どこにあるんでしょう・・」
「いや・・まだ君に無理だったね。もう何年も競翔やってた子に喋ってるように、私は熱くなってた」
 川上氏は、笑った。
「いえ!教えて下さい。どこに原因があるのでしょうか?」
「困ったなあ・・・まだ競翔4回の子に口が滑ったよ・・」
「是非!」
 香月の視線は、川上氏の戸惑いを拒否していた・・。
「しょうがない・・君には鳩レースを楽しんで貰う立場の私が、まるで、煽るように言って・・。君の・・レース間訓練が少し気になってたんだ。いや・・悪いと言う訳じゃない。レース間が1週間、2週間しかない現実で、500キロレースから700キロレースには、いかに早熟の血統の君の鳩でも、疲労がピークになる頃だ。その訓練はまだ生後1年の若鳩だから、必要ないとは言わないけど、そのせいかも知れないね・・まだ競翔一年と半年の君に、こんな事言う私も口が滑った。許してくれたまえ。」
「いえ!参考にさせていただきます」
 競翔を始めてまだ秋・春・秋・春・・4回のシーズン・・香月が既に、強豪と言っても過言で無い成績を残している事と、このベテラン競翔家さえここまで、言わせてしまう、非凡さが確かにあるようだ。

更新日:2008-12-10 19:19:33