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電話のベルが鳴った その6 パターンA

挿絵 320*240

電話のベルが鳴った。

電話に出るか出ないか俺は迷った。足元には死体が転がっている。おそらくこいつに用があるのだろう。

出ないと怪しまれるだろうか。それとも外出していると思うか。

俺は後者だと思うことにした。

金目の物を探すと財布がポケットに入っていた。

二つ折りの財布を開きお札を抜き取る。万札が8枚と千円札が3枚。悪くない。

カード類もざっと目を通す。

クレジットカードはやめておこう。足が付くかもしれない。

名刺も一緒に入っていた。

こいつは天気山晴男というらしい。同じ名前の名刺が五枚入っている。もしものときに備えて、予備として財布に入れているのだろう。

隣の部屋に金庫があった。

まだ電話が鳴っている。あんまりうるさいと近所の人が見に来るかもしれない。

金庫を開けずに帰るのはもったいなさずぎる。

仕方がない。友人でないことを祈って受話器を持ち上げた。

「はい」

「天気山晴男ですが......」

更新日:2009-05-23 16:28:12

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