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ふたり


車の後ろの座席から、バッグを出して・・・
悠介の後から付いて、旅館の玄関に入った。

フロントに行くと「いらっしゃいませ。ご予約戴いておりますでしょうか?」
とにこやかに聞かれ・・・悠介が、返事をすると・・・
「申し訳ございません。決まりですので、ご住所とお名前をご記入ください」
そう言われ・・・悠介は、住所と名前を書き・・・
その隣りに、妻 優華と書いた・・・

悠介の妻・・・?
なんだか・・・ピンとコナイ・・・

「お部屋に、ご案内致します。お荷物を・・・
どうぞ、こちらでございます」ベテランの仲居さん?

案内されたのは、フロントのあった本館?から少し離れた場所にあった。
別館?・・・と言うか・・・なんだか隠れ家みたい・・・
いくつか部屋が、あるみたいだけど・・・それぞれ離れてる・・・

「お食事は、お部屋を出まして・・・
向かいに、ございます”浅葱の間”に、ご用意致します。
6時には、ご用意できますが、お電話させていただきますので。
それでは、失礼致します。ごゆっくり」

部屋に入って・・・遠い山の景色が・・・
壮大な絵画のように美しくて・・・見惚れてしまった。
ふと、目の前を見ると・・・驚いた・・・。
専用の露天風呂?が、付いてる。

「悠介・・・お部屋に、露天風呂?」
悠介は、笑ってる・・・「知ってたの?」 「まあね」
「それで、露天風呂入ろうって言ったの?」 「嫌か?」
「ううん・・・これなら入れる。誰にも、見られる心配ないもの・・・
本当に、リスか鹿でも来ないかな?」 景色を眺めていたら・・・

悠介に、後ろから抱きしめられた。
「優華と旅行するの・・・初めてだな・・・」
「子供の頃、2家族で、よく旅行したよ・・・あと中学の修学旅行・・・」
「大人になってからっていう意味だよ」
「それは・・・なんか恥ずかしい・・・」
「どうして?」
「だって・・・悠介、妻 優華なんて書くんだもん・・・」
「きっと、妻 優華にしてみせるから・・・」
「それって不倫カップルのお忍びの温泉旅行みたい・・・」
「あぁ・・・ここは、そういうふたりにぴったりだろう?」
「私たち、不倫じゃないよ・・・」

更新日:2010-01-09 17:20:01