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小説

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第4章 弘法山の秘密

 石段を一歩一歩踏みしめるように登る。
 蟹沢の額から汗が流れる。

 弘法山は見事なまでのピラミッドのスタイルをしているが、中腹の観音堂まではどこにでもある山寺を訪れるのと一緒の感覚だ。ただ、何かが違う、そんな感じを抱くのに蟹沢の足は最後の石段を踏むまで時間を要した。
 登りきった場所は再び平坦になっていた。正面に堂、右手の境内は小さな公園のようになっていた。無人だった。
 武蔵越生七福神の弁財天が祀られている観音堂は、参拝者を優しく迎えてくれる。枇杷を奏でる音楽と弁才の神様「弁財天」は、異端の訪問者である蟹沢をも差別しないのだろうか? そんなバカなことを考えながら、微妙に異なる感覚の正体をさぐろうとしている。
 やはり分からない。視線は感じない。
 まさか弘法山に秘められた謎の伝説がまとわりついているわけでもあるまい。ピラミッドのパワーも関係ないだろう。
 

更新日:2008-12-12 13:02:27