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挿絵 321*123

 古いクルマで、最新のものと比べると、デザインもエンジンも見劣りする部分がないわけではない。だが、どんなに古くてもドイツが世界に誇るポルシェだ。世界最大の4気筒たエンジンは、まだまだ余力は十分だった。単純なスピード競争では劣っても、独特なレスポンスは最新のクルマにはない味がある。

 横浜町田インターチェンジで国道16号線の八王子方面へ進むと、渋滞に遭遇した。舌打ちし、途中から強引な右折で住宅街を抜け、平行して走る町田街道に進路を変更した。

 向かう先は、笠松忠雄の家である。多摩丘陵の間に開けた集落のような場所に、忠雄の家はある。周辺は宅地化の波に押し寄せられ、新興住宅地として確立している。最寄駅との間では、バスがピストン輸送している。建売住宅を中心とするエリアでは、微妙に各戸に自己主張をさせているものの、俯瞰してみるとまったくの無個性な家並みとなっている。
 笠松家も例に漏れず、彼の専攻する学問分野とはまったく関係なく、他の家と同様に無個性になっている。

更新日:2008-12-02 14:55:35

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