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自分の足で歩く事。自立。

ある日の授業中に考えていた。今の私はどう生きているのかと。
出て来た答えは、彼におんぶにだっこだった。
彼の生活を邪魔し、彼の生活にすがっていた。しかし、その先に幸せは想像出来なかった。
自分のやりたい事。
それを考えてると音楽しか見当たらなかった。私は中学生の頃から作曲するようになり、未発表の曲が数曲出来ていた。そこから思いついた。
『音楽を学ぼう』と。
思いつくと早かった。タウンページで個人レッスンがあるボイストレーニング教室を探した。そして、電車で40分の教室を見つけた。
週1回90分レッスン。月謝3万円。

学校よりもボイストレーニングに通った。既に学校はどうでも良かった。
生きる為には、やりたい事にすがるのが一番良かった。毎週毎週のレッスンは厳しいもので、先生に誉められる事は殆どなく、半年間歌なんてまともに唄わせて貰えなかった。

ある歌に『お母さん』と言う単語があった。歌詞を朗読するレッスンで、私はその単語が上手く言えなかった。
『もっと優しく、お母さんって言えないの?』
何度怒られても直らず、私はレッスン中に泣いてしまった。
『お母さん』
私にとっては最も嫌な言葉だった。

更新日:2009-04-28 00:50:57

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