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(19) 「盗」飛行

ヘリは次元が差し向けたものだった。自動操縦から手動に切り替え、運転しながら怯えて小刻みに震えているカレンに気づかう。

「もう、大丈夫だ。奴らは俺を麻酔弾で眠らそうとしただけだ。」

こっくり頷く彼女。

「、、、、、、逃げる必要はなかったのよ。あなたは私たちの要求通りにしてくれるんですもの。」
「奴らは俺にも次元と同じコトしようとしてた、違うか?」
「私はあなたをおびき出すという指令を受けただけ。まさかこんな陰謀があったなんて。」
「知らなかったのか。」
「ええ。」

相変わらず震えている彼女。

「君ほんとにCIAのエージェント?」
「、、、私、二重スパイみたいなものなの。でもこの計画を知らなかった。今までいた部署から転属になって新しい課に入ったんだけど、そこはCIA内部の陰謀や二重スパイを調査する部署なの。

今はフェニックスのいる課に潜入して彼の最近の不審な動きを探る仕事。」
「なるほどね、奴は本来の仕事じゃなく誰かの陰謀の片棒を担いでるってわけか。」
「そうかも、、、。」
「ほんとのボスに報告するんだな、さもないと君の命が危うくなるぞ。」
「ええ。あの、、」
「、、、。」
「さっきの言葉はもしかして救助信号?」
「いい勘してるね。」

更新日:2009-06-12 00:42:02

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