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ワルサーは火を噴くかわりに「ルパン三世」のテーマのメロディーを奏でた。

ピストル型をした目覚まし時計だった。

「ワリイ、ワリイ、びっくりした?もうライターは流行らねえんじゃねえかと思ってさ。」

次元は起き上がって冷や汗を拭いた。そして本物のルパンに向かって言った。

「お前、俺のこと、ニセもんだと思ってるだろ。」
「もちろん。」
「本物の次元ならとっくにお前殺してるはずだからな。」

そう言うと次元の格好をした男は、いつの間にかすり取った本物のワルサーをルパンに向けた。

「あ、よしなっつの、シロートはそんなアブナイモンで遊んじゃ。」

空砲が1発、立て続けに実弾6発、暗闇で壁に弾が弾く音が聞こえた。

夜目の利くルパン、男がめくらめっぽう撃ちまくる弾を巧みによけて後ろからたちまち羽交い絞めにした。

頚動脈を圧迫すると、意外とあっさり男は銃を取り上げられ、そのままだらりと体をルパンに預けた。

ルパン、男の正体を知ろうとして腕時計の明かりをつけ、帽子を取り、次元の顔のマスクを剥ごうとした。

その顔はマスクではなかった。付け髭をとったらまるで若者に戻った次元。

しばらく、ルパンは男の顔に見とれ、思案する。男の身元を探ろうとポケットをまさぐる。その間、気絶した男の顔はたちまち人間の色と思えないほど、どす黒く変色していった。

更新日:2015-02-11 01:17:52

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