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あとがき

 憎まれても、恨まれても、そばにいたかった・・・。
 的な話を書いてみたかった。
 もっとしたたかに、そしてしなやかに生きる女性になる予定だった。その颯爽とした部分を陸子さんが演じてくれたので、杏子は、ただただ本当の‘天使’になってしまった。
 人の中に在る究極の‘善’の姿。これ以上はないという清い部分、綺麗なもの、澄んだ色彩。それを描いてみたかった。これがぎりぎり‘人間’であるという一線を。それ以上は本当の‘天使’、神の領域だよ、という。
 そして、『愛』がすべてを救うのだ、というありふれたフレーズを、その世界を描きたかった。朱鷺は少なからず、本当にそう思っているので。
 救えるのは、‘愛’だけだと、本当に思うので。
 こんな人間、実在するわけないじゃん、とは朱鷺は思わない。
 いると思う。
 そして、会ってみたいとも思う。
 ‘天使’は宗教団体の中とか、特別な場所にはいない。それはむしろ虚像、作られた偽者のような気がする。本当の‘天使’は普段、普通の人間の振りをして人ごみに紛れている。普通に食事して、仕事をして、人々の中に普通に笑っている。特別なこともしないし、特に人の相談にのったり、ボランティアをして尊敬を集めているわけでもない。‘天使’はそこに在るだけ。そんな気がする。
 だけど、出会った人は否応なくその運命を変えられ、歩いていく道筋を、その先を白い光に照らされて自分の向かう先を示される。それは良くも悪くも。その善悪の概念は一般的な人間のそれとは違って、もっと大きな単位で、もっと広大な範囲で行われるから、一旦、狂わされたように感じるかもしれない。地球よりも、宇宙よりも大きな『神』の目線で判断されるから、人々には理解出来ないこともあるのだ。それを、‘天使’は無意識からの大きなうねり、大きな意思に寄って、何もせずとも、人々に何かを伝える。ただ、‘愛’という人がなんとか理解できる概念に動かされて。
 ‘天使’に想われるなんて、羨ましい。
 直樹はきっと、生まれる前に何か大きな契約をしたのだろう。その方法を教えてもらいたいもんだ。
 朱鷺は、陸子さんに似ているかもしれない。彼女の心はとても分かり易い。彼女にも、ぜひ、幸せになってもらいたい。
 ただ、彼女は杏子と同じ状況を‘幸せ’とは絶対感じないだろうから、とにかく、思う通り、自らを全うする人生を歩んでもらいたいと祈る。
 美香のような人間を朱鷺は‘女’と呼ぶ。
 善し悪しでも正負でもなく、ただ、単に私は嫌いだ。憎んですらいない。視界に入れたくない。関わりたくない。そういうタイプだ。それでも、この子はまだマシだよね。もっと理解不能の‘女’が世の中に大勢いるから。彼女らが存在することも別に構わないし、そういう‘女’が好きな男性もいるんだろうから、朱鷺は別にそれについてどうも思わない。ただ、朱鷺に関わらないで、というだけ。
(だから!これは‘あとがき’か・・・?)
 文章力は、なんだか、読み返すと頭痛がする。
 でも、今はこれが精一杯だ。

更新日:2011-03-03 13:18:13

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