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昔々、今よりも昼がずっと短くて、夜がとてもとても長かった頃、
夜空から地上を眺めていた一つの星が、ある男に恋をしました。

男は真っ暗な夜が大嫌いで、星が見る男の姿はいつも、
昼が終わってしまったことを嘆き悲しんでいて、
それはそれは哀れな様子でした。

星は、男のために何とか夜を明るくしようと、一生懸命に光りましたが、
星が放った光はほとんど男に届かず、ちらちらと闇に吸い込まれてしまうのでした。

どうにかできないものかと考えた星は、神様にお願いしました。
「どうか、私をもっと大きくして下さい。」
それまでずっと星の様子を眺めていた神様は、星を大きくして、月に変えてあげました。

月になった星は、男のために一生懸命輝きました。
しかし、男は月を見ようともせず、昼を思い出しては泣きました。
「ああ…太陽よ、空に戻ってきておくれ…」
それを聞いた月は、どうにも悲しくなって、涙をぽろぽろ流しながら、光を失っていきました。

やがて白い白い月の顔は、鏡のように静かになり、
遠くの方に居る太陽の光を反射して、冷たく輝くようになりました。

太陽の光が夜をも照らすようになってから、
夜はだんだんと短くなり、昼と夜の長さは同じくらいになりました。
男は昼間起きて働き、夜には眠ってしまうようになり、
誰も居ない大地をただ、月だけが静かに見つめているのでした。

更新日:2008-11-25 15:21:55

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