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 次の忍者ショーに、真一は現れなかった。そのことは、ママさん連中と歴女集団には何の問題もなかったが、ちびっ子たちにとっては大きな問題だった。
「なんだよ、シンイチいないのかよ! つまんね~! 」
 大輔など、ふてくされて帰ってしまった。
「じゃあ、あっちのお兄ちゃんにしゅりけんぶつけてやる! エイ!! 」
 子供の一人が恭二に手裏剣をぶつけ始めると、他の子供も皆まねをして恭二にぶつけ始めた。しかし、恭二の親衛隊が仁王立ちして、手裏剣の行く手を塞いだ。
「だめよ、恭二さまにぶつけちゃ」
 その阿修羅のような顔つきに、子供たちが一人、また一人と泣き出した。
「うわ~ん、こわいよ~!! 」
「ぼく帰る~!! 」
 その様子を見ていた了やママさん連中が、仕方なく真一の代役をしてその場をしのいだが、その日を境にして子供たちの図書館に対する熱は、次第に醒めていった。
 真一は次の忍者ショーも、その次の忍者ショーにも現れず、電話にも出なかった。
「仕方ないね、真一はもうメンバーから外した方がいいのかもしれない……」
 了の簡単に決めるような言葉に、芳江が語気を荒げた。
「今まであれだけ頑張ってくれたのに、そんなの冷たすぎるじゃない! もう少し待ってあげようよ! 」
 芳江の意見に、美鶴は真っ向から反対した。
「何も言わないで出て行ったり、連絡もしないで休んだり、あいつの方がよっぽど無責任じゃない! なんで何も言ってこないのさ? 」
「いいたくない理由があるんじゃないの? みんなで共ちゃんばっかり褒めるし、誠一ちゃんだって、あのときのことちゃんと説明してないかもしれないじゃない! 」
 美鶴は思いがけない芳江の反撃に遭い戸惑いながら、意地にもなっていた。
「だったら尚更、真一がちゃんと説明しなきゃならないでしょ? もう放っときなよ! 」
「もういいよ! 美鶴のわからずや! 」
 芳江は大輔のように、怒って出て行ってしまった。
「あ~あ、怒っちゃった……」
 了はのんびりと、芳江の姿を見つめていた。


更新日:2009-10-25 16:57:30

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