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忍者ショーの新たなスタッフ

「イケメンの池田さん? 」
 忍者ショーの打ち合わせは2時間遅れで始まり、青年も一人だと不安なので参加していたのだが、自己紹介の後みんなに突っ込まれた。
「もう、イケメン、イケメンって、お笑いタレントみたいに言わないで下さいよ~! 」
 青年の名前は池田恭二といい、服飾デザイナーを目指している。少し前までイタリアで留学していたのだが、日本に帰ってきてどこかに就職したいと思っていた矢先の事件らしかった。
「へえ、イタリアにいたんだ。あたしの両親もイタリアにいるんだよ~。」
 芳江の両親は有名なデザイナーで恭二ももちろんよく知っており、日本に帰ってからよもやその家族に会えるとは思わず、恭二は大げさに驚いて見せた。
「あの《ミスター・アンド・ミセス赤井》の? いや、信じられないな! 僕がイタリアにいたころは雲の上の人達だったのに」
「私にも雲の上の人達だけどね」
「 ? 」
 芳江の家庭の事情を知っていた満と了は話題を変えた。
「イケメンの池田さんも忍者ショー手伝ってくれる? 」
「もう、だからイケメンはやめっててば~」
 しかし恭二に拒否権はなかった。なにしろ恭二の身柄の安全は、ここのスタッフにかかっているのだ。
「じゃー俺もそろそろお役ゴメン……」
「なわけないでしょ! 」
 真一の要望も却下されたところで、恭二の役が言い渡された。
「では、池田さんの役割を発表します」

更新日:2009-09-12 16:17:52

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