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新しいスタッフ

 コスプレ忍者は、名を“柳生真一”と言った。紛れもなく柳生一族の血を引いている家系ではあるが、父も祖父も武道とは無縁の公務員である。ただ、母が“柳生一族の陰謀”の大ファンで、柳生という苗字に惚れて父と結婚し、あげく我が子に主演の“千葉真一”から名をもらったのだった。
 「で、職業はフリーター、年は25歳、血液型は芳江と同じO型で、趣味は万引き、特技はコスプレ…と。」
 美鶴の取調べに対し、真一は苦言を述べた。
 「勘弁してくださいよう!万引きは趣味じゃぁありませんよう!」
 芳江も一緒にされて、面白くなさそうだった。
 「ちょっと、こんなのと一緒にしないでよ!O型には王さんや松井、ビートたけしや所さんとかタモリとか大物もたくさんいるんだからね!」
 「こんなのって…。」
 真一は散々な言われようで、ただでさえ小さな163cmの身体を更に小さくして、うな垂れていた。
 「良かったね~!警察に突き出されなくて。その分働いて返してね。」
 「どうせフリーターだし、暇でしょ!」
 こんな暇そうな図書館で何をしたらよいのか、真一は恐る恐る尋ねた。
 「あのう、それでぼくは何をすれば…。」
 了は、真一めがけて手裏剣を投げるふりをした。すると、真一は頭を抱えてうずくまった。
 「あはは、あんたのリアクション可笑しいからさ、客寄せにショーやってよ。」
 真一は頭を抱えたまま、上目遣いに了を見返した。
 「ショー?」

更新日:2009-04-05 23:28:10

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