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(8) 下山

次の朝は吹雪になった。

不二子はヘリの着陸地点を探して山頂近くを飛んだ。

視界が悪く、とても着陸はできないと言ってきた。テントに供給される酸素はもう底をつき、あとは自力で下山する以外に道はない。

銭形はルパンを背負い、次元は残ったボンベや機材を背負って歩いて山を下った。

不二子は吹雪がやむのを待って、さらに着陸できる地点を探した。

「何とか着陸できそうな所見つけたわ、そこから南に2キロ下った所に湖があったでしょ。その周り上空から見ると、晴れ間が見えるわ。

今は天候が変わりやすいから、近い所ではそこしかないわ。」

三人は雪原の中、半日かけて凍った湖の近くの開けた場所へたどり着いた。

ヘリを下ろそうとする不二子、しかし激しい吹雪の中、着地がうまくゆかない。

「梯子下ろしてくれ、なんとかコイツだけでも乗せてってやってくれ。」

吹雪の中、次元は梯子にルパンをくくりつけようとする。アリーがヘリから降りてきて三人を助け上げるのを手伝う。

その時再び、銃弾が全員を襲った。

例の男たちがバラバラと現れ、ヘリに向かって集中攻撃をかけた。全員の体が的になった。梯子にかけた手を下ろし、銭形が二人に向かって振り向いた。

「ここは何とか俺が食い止める、早くヘリを飛ばせ。」
「父つあん!」
「いいから行け!」

ルパンをヘリに吊り上げる間、敵をことごとく打ち倒す銭形。

激しい風に煽られ、ヘリは機体を揺らしながらも何とか舞い上がり、ふもとへ向かって飛び立つ。

「父つあん、必ず助けにいくからな、待ってろ!!!」

更新日:2015-10-11 00:04:42

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