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(6) 拉致
イギリス、ヒースロー国際空港。
恰幅のいい、鼻髭をたくわえた紳士が飛行機から降り立つ。そばには助手とボディーガード。紳士と助手はアタッシュケースを提げている。
「スミス君、そのレポートを後でもう一度チェックしてくれ、明日の発表原稿の最終確認だ。」
「承知しました、あ、そちらもお持ちしましょう。」
「いや、いい。これは私が直接会場に持ち込む。大事な資料だから。」
博士、タクシーに乗り込もうとして後部座席に手を掛ける。その瞬間、通りかかった男に持っていたアタッシュケースをひったくられる。
「あっ!待て!!」
助手とボディーガード、引ったくりを追いかけてその場を離れる。その間タクシーに一人取り残された博士、隣に見知らぬ男が乗っているのに気づく。
「サビ・ハウス博士。明日、国際エジプト学会にご出席されるハウス博士ですね。」
「そうだが、何か。」
「このお嬢さんをご存知ですね。」
14、5才の少女の写真。
「わしの孫娘のソフィアだ。ロンドンの学校に留学しているはずだが。あの子がどうかしたのかね。」
「お孫さんは事件に巻き込まれたようです。」
男は、懐から警察手帳を出す。
「何だって!」
「署までご同行願います。」
「分かった。」
タクシーが走り出す。タクシーは警察署の前を通り過ぎる。
「これは何の真似だ。行き先が違うじゃないか!」
「静かに願います。お嬢さんは無事です。あなたが余計なことをせず、こちらの指示を聞いて下されば安全にお返しします。」
「図ったな!何が目的だ、わしがねらいなら、はじめからわしを誘拐すればよい、孫娘を返せ!」
ガツン!
いきなり後頭部を激しく殴られ気を失う博士。
恰幅のいい、鼻髭をたくわえた紳士が飛行機から降り立つ。そばには助手とボディーガード。紳士と助手はアタッシュケースを提げている。
「スミス君、そのレポートを後でもう一度チェックしてくれ、明日の発表原稿の最終確認だ。」
「承知しました、あ、そちらもお持ちしましょう。」
「いや、いい。これは私が直接会場に持ち込む。大事な資料だから。」
博士、タクシーに乗り込もうとして後部座席に手を掛ける。その瞬間、通りかかった男に持っていたアタッシュケースをひったくられる。
「あっ!待て!!」
助手とボディーガード、引ったくりを追いかけてその場を離れる。その間タクシーに一人取り残された博士、隣に見知らぬ男が乗っているのに気づく。
「サビ・ハウス博士。明日、国際エジプト学会にご出席されるハウス博士ですね。」
「そうだが、何か。」
「このお嬢さんをご存知ですね。」
14、5才の少女の写真。
「わしの孫娘のソフィアだ。ロンドンの学校に留学しているはずだが。あの子がどうかしたのかね。」
「お孫さんは事件に巻き込まれたようです。」
男は、懐から警察手帳を出す。
「何だって!」
「署までご同行願います。」
「分かった。」
タクシーが走り出す。タクシーは警察署の前を通り過ぎる。
「これは何の真似だ。行き先が違うじゃないか!」
「静かに願います。お嬢さんは無事です。あなたが余計なことをせず、こちらの指示を聞いて下されば安全にお返しします。」
「図ったな!何が目的だ、わしがねらいなら、はじめからわしを誘拐すればよい、孫娘を返せ!」
ガツン!
いきなり後頭部を激しく殴られ気を失う博士。
更新日:2015-10-10 23:41:56