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憎しみ
嫌な予感 ・ 的中! 玄関のブザー が 鳴った 「 ブー ・ブー 」 ドアの ガラス越しに 映った影、そこには 和樹の母と、紀夫の姿が あった。 怖かった。 私は この2人の姿を 見ただけで、心臓が止まりそうなほど、恐怖を 感じるのだ。 「 ななみさん、 居るんでしょ、 開けなさい 」 声を 聞いただけで、怒りや 憎しみで、 悪寒が 走った ・・ 何しに来たの? その前に、何で ? 別居していたことは、知っていただろうけど、和樹でも、別居していた私の、アパートは 知らなかったのに、学校にだって 知らせていない ・・ 何でこいつらが、ここに居るの?ストーカーか ? ・・ 私は 少しだけ ドアを 開けた 。 「 和樹のお墓は どうなってるの? 早く建てなさいよ。 まさか建てないつもりじゃないだろうねぇ。 それと 親父の今まで貰ってた年金、全額 払ってもらうから。 通帳も ・・ いいね 。 」 言いたいことだけ 言って 、帰っていった。 しかし、私の 住所を どこで どうやって 調べたのか、頭にきたし、恐怖を 感じた。 年金って! 年金 と 通帳を ・よこせ・ と言う事は、父の面倒は、これから 誰が、 看ていくというのか? お墓 のことだって、あいつ等が 支払うんなら、せかされても 仕方ないだろうけど、名字も 違うのに、関係ないじゃない。 私の 気持ちの中では、土地は早めに 購入しておいて、お墓は、一年後の 命日に、 建立しようと 思ってるのに ・・ まぁ 自分の 気持ちや 考えを、あいつらに 話すつもりも 無いが ・・ 。 又 、厄介な事が 始まろうとしている、 もしかしたら 、父が ? 父が 私ではなく、紀夫にって ・・ そう言ったの ? まさか ・・・・・ ? だって、あの時 ・・・・・・ 葬式が 終わって 二日後のこと、子供達を 連れ、父に会いに行った。 和樹が 亡くなった事を 報告に ・・ かなり勇気が いったが、いつまでも 隠しておけるわけもなく、お葬式の写真と、和樹の遺影を 持ち、打ち明けにいったのだ ・・・ その時、私は 「 お父さんこれから、和樹は居なくなったけど、お父さんのことは、私が責任もって、看ていくからね ・・大丈夫 ? でも、お父さんが、血が繋がってないから、嫌だって言うんなら、遠慮なく言ってね ・・ 紀夫さんに 聞いてみるから 。 」 この日、和樹の死を 知り、かなり 落ち込んでいたが、お葬式の写真を見て 「 立派に、葬式 挙げて貰って、良かったよ、ありがとう。 これからも、お前に 面倒 掛けるが、頼むな。 紀夫なんか、きっと パチンコ ばかりで、俺のことなんて、看てくれんから ・・・ お前に 看てもらいたい 」 そう言ってくれたのだ ・あんなに 我がままで、苦労させられてきたが、この時、報われた気がした ・・ これまで 家族みんなの力で、父を 励まし、介護してきて、本当に 良かった、うれしい瞬間だった。 だが、あいつらの 意味ありげな言葉、何かあるに違いない 。 明日、和樹の父に 会いに行こう。
更新日:2009-05-01 11:17:34