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これは余談だが、夜中から朝方にかけて、ずっと 会場のあちらこちらで、大きなラップ音が ・パキッ ・ パキッ ・ と鳴り響いており、 和樹が 大丈夫だよ、 みんな 頑張れよ、 ありがとな、 と話しかけて くれている様な 気がした ・・・・ 。 忙しい 朝が来た ・・・ 今日の夕方には 、お通夜だ、午前中から、一人・二人と、近所の方から、会社の方、遠方より親戚が集まり、ピリピリした 緊張が 、ピークに達していた ・・ 。 来られた方 、一人ずつ に 挨拶をし、食事を 進め、お茶を出し ・・・ 私が 喪主をやる日が 来るなんて、考えたことも無かった。 挨拶の言葉を考え、紙に書き、何度も練習したが、涙が止まらず、言葉にならない。 子供たちも 私が、みんなの前で、ちゃんと 挨拶できるか、心配していたが ・・・・ 夕方になり、 いざ ・本番 ・・ やはり 泣いてしまい、言葉を 何度も 詰まらせ、気丈にとは いかなかったが、何とか挨拶が できた。 年末の忙しい中、たくさんの方たちが、足を 運んでくれ、 子供たちが、女の子 三人とも あって、中学生から、高校生の若い女の子たちが、 たくさん参列してくれ、華やかに、賑やかに、和樹を 送ってあげることが できそうだった。 しかし この会場だが、和室になっており、座敷だったため、若い子から お年寄りまで、足が痺れ ・・・お経も 有難い事に、少し長くしていただき 、 この為か、お焼香で立ち上がる際に、何人か立ち上がれず、足を引きずったり、ひざまずきながら 何とかその場にたどり着いたり、前の人の 肩に 倒れこんだり、靴下に穴が 開いていたり、焼香する場まで、さぞ 皆さん大変だった ことだろう。 あちらこちらから、クス・クス・と笑いが 聞こえていたから、 私たちも 、それにつられて、少し 笑ってしまう場面さえあった。 私は小さな頃から、茶道と華道を 習っていたおかげで、正座は得意だったため、難を、逃れることができたが、子供たちも、制服 の短い スカートの下に 、足を 隠しながら、何度か崩したりしていた、いくら お葬式に慣れていないとはいえ、和室にしてしまい 皆さんには、ご迷惑を 、おかけしたと 後悔しました ・・・ 。 でも きっと、和樹も 楽しかったに 違いない ・・・。 私は そう思いながら、頭が真っ白になりながらも、前日渡された 「 お通夜 」 と書かれた、紙の 順番通りに、ぎこちなくだが、事を 進めていった ・・ 途中 何を していいのか 、わからなくて 担当の方に 「 すみません、全然お葬式のこと 知らないもので ・・・ 」 そういうと 「 当たり前ですよ、お葬式に慣れるなんて、あまりいいことではありませんから ・・・ 」 あぁそうかぁ、わからなくて いいんだよね、フッと こわばった 顔と、心に、緊張が ほぐれた気がした。 だが、お通夜が、終わりに近づいてくると、和樹とも 今日で最後だ、という思いに駆られ、苦しかった。 このとき、私は、まる二日以上、何も口にしていない事に気がついた。
更新日:2009-04-24 11:58:21