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次の日、帰りの船の中で、和樹が子供たちに 「 お前たち、18才になったら 車の免許取れよ! 」 和樹の言葉に サナが 「 やだ 怖いし、誰か ひいちゃったら 嫌だから 」・・ 昔の 私みたい・・ 「 車は、自転車より簡単で、雨でも濡れないし、どこでも行けるぞ ! 」 そう子供たちに、優しい笑みを、浮かべながら 話していた 、 ・・いつもこんな風に優しく、穏やかならいいのに、酒乱じゃなかったらナァ、家族だけでいるときは、酔って暴力を振るうことも無く、人一倍、思いやりのある人なのに、飲んで帰ってくると、はじまるんだよね~・・・ 和樹の なんとも言えない、優しい笑顔を見ながら、いつになく 寂しく、壊れてしまいそうな、感覚を 覚えた ・・・・ 。 こうして 家族最後の 小旅行が終わった。 少しずつ 涼しくなり、季節が 夏から 秋に、変わろうとしていた。 私たちも そろそろ老後を考え、保険でも 入っておかないと、まずは 和樹の父だ、 「 安くていい保険ないかナァ 。 」 しみじみ 和樹に伝えると 「 親父はいいから、俺に ひとつ 保険 、はいっておけ 」 真剣な顔して 何 言ってるんだか 「 なんでぇ、今は あなたの 親父のが 先でしょ 、 私が手続きしとくから、いいよね 」 和樹は 「 親父より 俺のが 先に死ぬかも、 どうする? 親父のベッドの横に、 俺も入院したら! 」 そう笑いながら、言っていたが、私は真剣に 「 困るから。 和樹 死んだら、ババァや紀夫が、何してくるか 分からないし、親父どうするの? 本当 困るし くだらないこと、言わないで!」 和樹は機嫌の 悪くなった私に、ちょっかいを 掛けながら、冗談を繰り返す 「 まあ、俺も40だからな、もう 40 才だぞう 」 なぜか昔から、40才・40才、と うるさく言う人だった、何でだろう ・・・・ 。 寒い、寒い、私の苦手な 12月がやってきた ・・・。 子供たちは、期末テストの真っ最中、寝る間も惜しんで勉強し 、私もテレビの音を下げ、勉強の妨げに ならないように、大声で笑いたいのを、抑え、協力した。 その結果、順位は さすがの 奈々は、やはり1番 ・ サナもギリギリ・2番との差、3点で 1番 ・マナは15番・みんな よく頑張りました、ハナマルです。 期末テストを 終えて 待ちに 待った、冬休み だ。 この日も 平日、和樹の休みで、私と たまたま家に居た サナが、 老人ホームに面会に行った、今回もたくさん買い込んで、いつものように、売店で付けを払い、父の歩く姿を見て、みんなで褒めて、銀行回りを して ・・・・ この日サナは、機嫌が悪いわけでもないのに、ずっと車中、お父さんと会話するわけでもなく、本を読んでいた。 サナは 、この日のことを、未だに後悔しているという、何であんな日に、本を読んでいたのか、自分自身に腹が立つのだという。 この日、和樹も口数が 少なかった 帰り 間際 「 俺に保険、入っとけ 」 はぁ? 「 またぁ、それは もういいから 」 私がそう言うと、和樹は黙って、運転した。
更新日:2009-04-05 10:40:39