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第五章

じりじりと焼け付くような太陽の光。
一面の砂、砂、砂、砂、砂。

視界が戻ったあたしの目の前に広がった光景は、見渡すばかりの広大な砂漠だった。

ここ…は、ノイルの森じゃない…よね?
どういうことだろう?同じ家の池の底のゲートから来たのに、出てきたところが違うなんて…。

そっか、あの言葉。『運命に従いて、正しき道へと、われを導け』だっけ?だからするべきことがあるところに、導かれたってコトだろうか。

それにしても暑い。というより熱い。そういえば…そう思って改めて自分のカッコを見たら…やだ、あたしうっかりまた制服着てきちゃってるじゃん!
さっき慌ててて、無意識のうちに着ちゃったんだ。

まずいな。こんな格好で、なにも荷物も持たないで、こんな砂漠の中にいたら、あっという間にダウンしちゃうよ。

どうしよう…地理が分からないんじゃ、うかつに動けない。下手に動いて迷って体力を消耗するわけにもいかないし、だからといって、ここにじっとしているわけにもいかない。
そう考えている間にも次から次へと、汗が流れてくる。

途方にくれそうになったその時、いきなりあたりが暗くなったように感じた。
違う、何か大きなものの影になったんだ。背後に蠢く気配。

振り返ると、あたしの数倍の大きさがある巨大なサソリの魔物が、獲物を狙う目つきで、こちらを見下ろしていた。
あたしの胴体よりも太い尻尾が、あっというまに襲い掛かってきた!だめだ!体がすくんで動けない!

「きゃ…!!」

固く目をつぶってしまったので、何が起こったのかわからないけど、くるだろう打撃に身を構えた瞬間、魔物が耳を劈く(つんざく)ような悲鳴を上げた。

更新日:2008-12-16 18:11:30

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