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第一章

鳥の鳴き声が聞こえる。
やさしい風が、柔らかく頬をなでていく。
心地良い、土と草の匂い。
こんな感触って何年ぶりだろう…
このままずっとこうしていたいな。



慣れない感覚に、朦朧としながらも、おそるおそる、薄っすらと目を開けてみた。

いきなり目の前に、あの赤髪の男の子の寝顔が超どアップで飛び込んできた。思わず悲鳴を上げそうになるのを、両手で押え込んでこらえる。

こいつもあの生き物を追って、池に飛び込んだんだ!さっき背後で感じた気配は、きっとこの人だったんだ。納得。

まじまじと寝顔を見ると、意外に睫が長く、整った顔立ちをしている。さっきは、驚いてばっかりで、顔もまともに見てなかったけど。なかなかいい男じゃん。

やっと少し冷静になってきた。まずは現状を把握しなきゃだよね。
あたりを見回すと、空へ向かって鬱蒼と伸びる木々が一面に広がっている。どうもここは森みたいだ。
しかしいったいどうなってるんだろう…
たしかに、あたしは自分ん家の庭の池に飛び込んだはずなんだけど。そもそも、ここはいったいどこなんよ!?

…ああそっか、これは夢なんだ。流星に告られるなんて、ありえないことが起こったりするから、こんなおかしな夢を見るんだよ。きっと。うん、そうだ。そうに違いないんだ!!

「おいっ!」

あの男の子が、目を覚まして、いきなりむんずと足を掴んできたので、あたしは思わず大声を上げた。

「ちょっ…離してよっ!!痛いじゃない!!」

ん?痛い??ってことは…これは夢じゃないのー!?

更新日:2008-12-13 21:14:00

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