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第七章
雲ひとつなく、澄み切った青い空の間を、三体の竜が物凄いスピードで駆け抜けていった。
仮面をかぶり、ローブを纏った者を背に乗せた、血の様な黒い赤色をした竜、夜の海のような、暗いブルーの、冷酷そうな竜。闇の中の森のような、濁ったモスグリーンの、傲岸で不遜な竜。
これだけのスピードを出しながら、三対の竜は、ほぼ同じスピードで、一直線に併走していた。
「…おや、ディンガーの気配が消えてしまいましたね…。フフフフフ…どうやら今度の聖女は、かなり頭も切れて、お強い。それに度胸もおありのようですね。フフフフフフ…楽しくなってきましたよ。こうでなくては面白くないというもの。ねぇ、そう思いませんか?ヴェラルゼ?」
ピログがいかにも楽しげに、自分を乗せている、血の様な黒い赤色をした竜―ヴェラルゼ―に向かって問いかけた。
「くく…単にディンガーの野郎が、弱すぎるだけだ。俺ならそんな小娘、簡単に八つ裂きにしてやるのに」
「おやおや、物騒ですねぇ…。聖女様は大事なお方なのですよ。人間どもにとっても、それに魔王様にとっても、ね」
ピログは意味ありげに微笑んだ。
「ケッ!俺様は、相手がナンだろうが、殺しができれば、それでいいんだよ」
血を見るのが何よりも大好きな、残虐この上ない性格の、この赤黒い竜のすぐ隣で、夜の海のようなダークブルーの竜―ゴードネル―が、後ろにちらりと目をやりながら、低くつぶやいた。
「おい、さっきの奴等が追ってきたぞ」
言うが早いが、すぐ後ろから、鈴の音のような、高い声の怒鳴り声が飛んできた。
「待ちなさい!!魔竜たちは、あたしたちに従ってもらうわよ!!」
大きな羽を持つ、鳥獣のような精霊が、魔竜たちのすぐ後ろまで迫っていた。その背に乗ったシャルディが、オレンジ色の短い髪の毛を、風に揺らしながら睨んでいる。横でヴェルゴールが素早く斧を構えた。
「フフフフフフフ…もう追いつかれましたか。案外早かったですねぇ。あ、いえいえ、こんなことを言っては、その精霊に失礼でしたね、フフフフフ…」
四体の異形のもの…三体の竜と一体の精霊…は、ほぼ同時に飛行を中断した。魔竜たちが向きを変え、精霊と対峙する格好となった。
仮面をかぶり、ローブを纏った者を背に乗せた、血の様な黒い赤色をした竜、夜の海のような、暗いブルーの、冷酷そうな竜。闇の中の森のような、濁ったモスグリーンの、傲岸で不遜な竜。
これだけのスピードを出しながら、三対の竜は、ほぼ同じスピードで、一直線に併走していた。
「…おや、ディンガーの気配が消えてしまいましたね…。フフフフフ…どうやら今度の聖女は、かなり頭も切れて、お強い。それに度胸もおありのようですね。フフフフフフ…楽しくなってきましたよ。こうでなくては面白くないというもの。ねぇ、そう思いませんか?ヴェラルゼ?」
ピログがいかにも楽しげに、自分を乗せている、血の様な黒い赤色をした竜―ヴェラルゼ―に向かって問いかけた。
「くく…単にディンガーの野郎が、弱すぎるだけだ。俺ならそんな小娘、簡単に八つ裂きにしてやるのに」
「おやおや、物騒ですねぇ…。聖女様は大事なお方なのですよ。人間どもにとっても、それに魔王様にとっても、ね」
ピログは意味ありげに微笑んだ。
「ケッ!俺様は、相手がナンだろうが、殺しができれば、それでいいんだよ」
血を見るのが何よりも大好きな、残虐この上ない性格の、この赤黒い竜のすぐ隣で、夜の海のようなダークブルーの竜―ゴードネル―が、後ろにちらりと目をやりながら、低くつぶやいた。
「おい、さっきの奴等が追ってきたぞ」
言うが早いが、すぐ後ろから、鈴の音のような、高い声の怒鳴り声が飛んできた。
「待ちなさい!!魔竜たちは、あたしたちに従ってもらうわよ!!」
大きな羽を持つ、鳥獣のような精霊が、魔竜たちのすぐ後ろまで迫っていた。その背に乗ったシャルディが、オレンジ色の短い髪の毛を、風に揺らしながら睨んでいる。横でヴェルゴールが素早く斧を構えた。
「フフフフフフフ…もう追いつかれましたか。案外早かったですねぇ。あ、いえいえ、こんなことを言っては、その精霊に失礼でしたね、フフフフフ…」
四体の異形のもの…三体の竜と一体の精霊…は、ほぼ同時に飛行を中断した。魔竜たちが向きを変え、精霊と対峙する格好となった。
更新日:2009-01-13 13:38:02