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第10話『乱れた生活〜地獄へ』

・:・:・:登:場:人:物:・:・:・:・
松尾リク(主人公)
筒井君(筒井道隆さん風)
布施(布施博さん風)
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 私のこれまでの数十年の人生の中で、
19〜20歳の頃というのは、
本当にどこまでも自分が壊れていた時期だった。

 若い頃というのは、皆そんなものなのかも知れないけれど。



 思えば、
命を賭けて愛し抜くと誓った筒井君と、
こともあろうに別れてしまってからだ。
私が壊れてしまったのは。
まあ、原因はそれだけではなかったかも知れないけれど。



 それまでの私の人生すべてを
絶大に支えていた筒井君との愛を自ら失くし、
自分というアイデンティティーのすべてが
白紙になってしまった様だった。

 それに加えて好奇心旺盛な浮わついた年頃だったことも
十分な原因でしょう。
そして、
若さゆえの自惚れ。



 何故だかひたすらモテたのがよくなかった。
過ぎた遠い昔話だからこんなざっくばらんな言い方が出来るのだけど、
年代を問わず、とにかく色んな男が色目を使って近寄ってきた。
チヤホヤされて、男なんてよりどりみどりだった。



 その頃の私は、
そんな近寄ってくる男たちとの駆け引きが好きだった。
それを楽しんでいた。

 私を口説き落とそうとする時の、
男たちの優しさとか、
懸命さとか、
興奮とか…
そんな熱心な表情や仕草を見ているのが快感だった。


 SEXは男がしたがるからさせてあげるのではなく、
私が<寝てみたい>と興味が湧いた時、
その男が私を口説くように私が仕向け、
その駆け引きを堪能した上で寝る。

 男が女を釣るのではなく釣りをしてるのは私。


 男なんてそうやって釣って楽しむものだなんて思っていた気がする。


 高校生の頃、男の子になり切っていた私が
今度は別の意味で妙な男性化を遂げていたという感じだ。


更新日:2009-03-08 00:56:41

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バツ2女の恋愛日記カミングアウト25年 〜愛ってなに?〜