- 26 / 137 ページ
第9話『失恋』
・:・:・:登:場:人:物:・:・:・:・
松尾リク(主人公)
筒井君(筒井道隆さん風)
葛山君(葛山信吾さん風)
・:・:・:・:・:・:・:・:・:・:・
19歳のG.Wから続いていた葛山君との生活。
彼の仕事の都合で一時は寮に帰ったりして
距離を置いたりしたこともあったものの、
またやっぱりお互いに一緒にいたくて戻る…
そんなふうに同棲生活が続いていた。
この幸せな暮らしを続ける中で、
ハタチになったばかりの私は、
<結婚>に異常なまでの憧れを抱いていた。
<恋愛>と<同棲>と<結婚>の違いを訳もわからずに、
とにかく葛山君との結婚に憧れた。
今から思えば一緒にさえいられれば、
結婚を望む必要なんて何もなかったのに。
それに、当時ハタチの私からは大人に見えた葛山君、若干23歳。
まだまだ結婚を考える年齢ではないことも、今なら解る。
けど当時の私にはそんなこと何も見えなくなっていたし、
むしろ彼のほうから一緒に暮らそうと言われた時点で、
彼から結婚を求められたかのような気になって舞い上がっていたし。
ただ、好きで好きで、たまらなくて、
好きになればなるほど、
彼も同じだけ愛してくれているかと不安で不安で
しょうがなくなってきていた。
結婚が、永遠に愛し会える約束なのだと思った。
思い込んでいた。
この舞い上がる幸せな毎日を
この先もずっと確定するのが<結婚>なのだと。
幼稚な私の勘違いと思い込み。
ただ、
今のままずっと愛しあっていたかった、
本当はそれだけだったのに。
いきなり結婚をチラつかされて舞い上がった後、
なかなか結婚話が進まないことに不安を感じ始めた私は、
いつしか事あるごとに葛山君に結婚をせっつくようなことを言っては、
ヒスを起こしたり、泣きすがったりすることが多くなっていった。
彼は「好きだ」と言ってくれているのに、
愛が見えないと泣いてばかりいる私だったから、
とうとう葛山君は、
「少し距離を置こう」
と、寮に帰ってしまった。
一旦別々に暮らして普通のカップルとして楽しく付き合っていこう、
ということのはずだったのだけど、
離れたことで私の心が余計に乱れ、
ますます泣きすがってばかりに…
そして、とうとう葛山君からの連絡がぷっつりと途絶えてしまった。
「来週は展示会とかで忙しいし逢えないけど、
再来週の水曜には逢えるから、電話するよ。」
そう書かれたある日の置き手紙。
その葛山君の言葉だけを信じて
次の水曜日まで待っていた私。
こんな泣いたりすがったりばかりの私じゃなく、
再来週の水曜日までにちゃんと笑顔に戻って、
そしてあの楽しい日々をやり直そう!
そう自分に言い聞かせて、
寂しさも我慢し、再会の日を待った。
松尾リク(主人公)
筒井君(筒井道隆さん風)
葛山君(葛山信吾さん風)
・:・:・:・:・:・:・:・:・:・:・
19歳のG.Wから続いていた葛山君との生活。
彼の仕事の都合で一時は寮に帰ったりして
距離を置いたりしたこともあったものの、
またやっぱりお互いに一緒にいたくて戻る…
そんなふうに同棲生活が続いていた。
この幸せな暮らしを続ける中で、
ハタチになったばかりの私は、
<結婚>に異常なまでの憧れを抱いていた。
<恋愛>と<同棲>と<結婚>の違いを訳もわからずに、
とにかく葛山君との結婚に憧れた。
今から思えば一緒にさえいられれば、
結婚を望む必要なんて何もなかったのに。
それに、当時ハタチの私からは大人に見えた葛山君、若干23歳。
まだまだ結婚を考える年齢ではないことも、今なら解る。
けど当時の私にはそんなこと何も見えなくなっていたし、
むしろ彼のほうから一緒に暮らそうと言われた時点で、
彼から結婚を求められたかのような気になって舞い上がっていたし。
ただ、好きで好きで、たまらなくて、
好きになればなるほど、
彼も同じだけ愛してくれているかと不安で不安で
しょうがなくなってきていた。
結婚が、永遠に愛し会える約束なのだと思った。
思い込んでいた。
この舞い上がる幸せな毎日を
この先もずっと確定するのが<結婚>なのだと。
幼稚な私の勘違いと思い込み。
ただ、
今のままずっと愛しあっていたかった、
本当はそれだけだったのに。
いきなり結婚をチラつかされて舞い上がった後、
なかなか結婚話が進まないことに不安を感じ始めた私は、
いつしか事あるごとに葛山君に結婚をせっつくようなことを言っては、
ヒスを起こしたり、泣きすがったりすることが多くなっていった。
彼は「好きだ」と言ってくれているのに、
愛が見えないと泣いてばかりいる私だったから、
とうとう葛山君は、
「少し距離を置こう」
と、寮に帰ってしまった。
一旦別々に暮らして普通のカップルとして楽しく付き合っていこう、
ということのはずだったのだけど、
離れたことで私の心が余計に乱れ、
ますます泣きすがってばかりに…
そして、とうとう葛山君からの連絡がぷっつりと途絶えてしまった。
「来週は展示会とかで忙しいし逢えないけど、
再来週の水曜には逢えるから、電話するよ。」
そう書かれたある日の置き手紙。
その葛山君の言葉だけを信じて
次の水曜日まで待っていた私。
こんな泣いたりすがったりばかりの私じゃなく、
再来週の水曜日までにちゃんと笑顔に戻って、
そしてあの楽しい日々をやり直そう!
そう自分に言い聞かせて、
寂しさも我慢し、再会の日を待った。
更新日:2009-03-08 00:32:20