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家に着いてから萌に電話した。
『私、一ノ瀬と付き合う事になった。萌のおかげ。ありがとね』
 そう私が言うと
『やっとかー』
 と萌が言った。
『え?やっと?』
『そうだよ。てか、もう2人付き合ってると思ってる人多いんじゃない?知らぬは当人達だけ、みたいなさ』
『えー!そうなの……?』
『ま、そういうところが遥佳らしいよね。やっぱり遥佳はかわいいよね』
 笑いながら萌が言った。
『もう、からかわないでよ!』
『ごめん、ごめん、でも良かったね』
『うん!』
 萌には、よくこうしてからかわれるけど、今は何言われても気にしない!
 だって一ノ瀬と両想いになれたんだよ!?うれしすぎる……。

 その後私は、早速一ノ瀬の貸してくれた本を読んでみる。
 高校生が主人公で探偵クラブみたいのをやっている話だった。わりと薄くて古めの本なので、一ノ瀬が中学生くらいのときに読んでいたっぽい。
 確かに、内容は学校内で起きた小さな事件を探偵クラブが解決する、みたいな、怖い要素は、ほぼ0の話だった。気を使ってくれたんだな。

 翌日の放課後。今日も2人きり。
「はい、これ、おもしろかったよ」
 私は一ノ瀬に本を返した。
「そっか、ならよかった」
「今度はさ、一ノ瀬が好きな本貸してよ」
「え?俺の好きな本……?」
「うん。ほんとに好きな本。だってどういうのが好きなのか知りたいんだもの。一ノ瀬、私の好きな物は、さんざん読んで知ってるでしょ?今度は私が知りたいの」
「怖くて泣いちゃうんじゃないの?」
「ひどーい!そんなお子様じゃないよ!」
「う~ん……。考えとくよ。それより、今度2人でどこか行かない?」
 あ、それって、もしかしてデートってこと?
「そうだね。いいよ。遊園地とかがいいかな」
「ホラー映画観に行くとか?」
ホラーかー……。さすがにそれは……。
「冗談だよ。遊園地、行こうか」
「うん!そうだよ、やっぱり初デートは楽しくなくちゃね!」
「初デート……」
 また一ノ瀬が赤くなっている。大人っぽいんだか、子供っぽいんだか、ほんとによくわからない人だ。

 とりあえずは遊園地だ。何を着て行こうかな?

更新日:2023-09-23 22:07:55

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買うのか借りるのか?私にとって、その違いは大きい。