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翌日の昼休み。
学校の屋上で、親友の飯田萌と昼ご飯を食べた。2年生でも同じクラスになれたのは、私にとって救いだ。
今日もいい天気だ。
私はお弁当で、萌は購買のサンドイッチ。
「なーんか、元気なくない?」
萌が私に言った。
「そ、そう?」
卵焼きを口に入れながら私は、ちょっとどぎまぎする。
「一ノ瀬くんの事?」
……図星だ。萌は、とにかく私のことを理解してくれている。
なので、思い切って、今自分がもやもやしていることを聞いてもらうことにした。
一通り聞いた萌は
「じゃあ、遥佳は、一ノ瀬くんが、遥佳がおもしろいって言った本、買ったらうれしいの?」
「それは……」
なんか違う感じがする。でも、どうしても引っかかるのだ。
「だって、おもしろいって言われて、お金出して買うんだよ。所有するんだよ。それって、すごく小峰さんのこと信用というか信頼している感じ、しない?」
「あー、そういうことか……」
萌はそう言うとペットボトルのりんごジュースを飲んだ。そして
「私としては、貸し借りする関係の方が、仲が良さそうに思うけどね」
と言った。
「そうなのかなー……」
どうしても釈然としない私なのだった。
「いっそ、本人に訊けばいいじゃない?どうして小峰さんに借りずに買ったの?って」
「そ、そんなこと、訊けるわけがないじゃない!?」
私があわてて言うと
「遥佳かわいいっ」
萌が私の頭をなでながら言った。……これは、からかわれているのか?
昼休み終了のチャイムが鳴った。
「さ、教室戻ろ?」
萌が言って、私達は屋上を後にした。
その日の放課後。
皆が教室を後にしても、一ノ瀬悟は本を読んでいる。昨日とカバーが一緒なので、たぶん小峰さんが面白いと言ったあの本だ。
今日も教室には、私と一ノ瀬の2人だけ。
「その本、おもしろい?」
私は、昨日と同じ質問をする。
「結構おもしろい、今のところ」
やはり一ノ瀬は本から目を離さずに答える。
「そうなんだ」
心の中のもやもやが大きくなる。
訊けばいいじゃない。
萌の言葉がよみがえる。心臓がどきどきする。訊く?やめとく?でも、やっぱり知りたい!
「あ、あのさ!」
思いがけず声が大きくなった。
一ノ瀬が私の方を見た。
「ん?」
「あー、何ていうか、一ノ瀬も本買うことあるんだなー、と思って」
何気ない風を装いつつも、心臓がばくばくしている。
「ほら、私のときは、いつも、私が貸してるじゃん?一ノ瀬にさ」
「あー、確かに」
そう言うと、一ノ瀬は本を閉じた。
え?本閉じちゃったよ、気分害した?やっぱり訊かない方がよかったかな。
言ったそばから後悔してしまう。
「なんて説明したらいいんだろう」
一ノ瀬が、ちょっと困ったように言った。
え?どういうこと?
「今日、俺んち来る?」
は?なぜそうなる?
でも、一ノ瀬の家は一度も行ったことがなかったので、行ってみたかった。
なので、私は、うん、と頷いた。
学校の屋上で、親友の飯田萌と昼ご飯を食べた。2年生でも同じクラスになれたのは、私にとって救いだ。
今日もいい天気だ。
私はお弁当で、萌は購買のサンドイッチ。
「なーんか、元気なくない?」
萌が私に言った。
「そ、そう?」
卵焼きを口に入れながら私は、ちょっとどぎまぎする。
「一ノ瀬くんの事?」
……図星だ。萌は、とにかく私のことを理解してくれている。
なので、思い切って、今自分がもやもやしていることを聞いてもらうことにした。
一通り聞いた萌は
「じゃあ、遥佳は、一ノ瀬くんが、遥佳がおもしろいって言った本、買ったらうれしいの?」
「それは……」
なんか違う感じがする。でも、どうしても引っかかるのだ。
「だって、おもしろいって言われて、お金出して買うんだよ。所有するんだよ。それって、すごく小峰さんのこと信用というか信頼している感じ、しない?」
「あー、そういうことか……」
萌はそう言うとペットボトルのりんごジュースを飲んだ。そして
「私としては、貸し借りする関係の方が、仲が良さそうに思うけどね」
と言った。
「そうなのかなー……」
どうしても釈然としない私なのだった。
「いっそ、本人に訊けばいいじゃない?どうして小峰さんに借りずに買ったの?って」
「そ、そんなこと、訊けるわけがないじゃない!?」
私があわてて言うと
「遥佳かわいいっ」
萌が私の頭をなでながら言った。……これは、からかわれているのか?
昼休み終了のチャイムが鳴った。
「さ、教室戻ろ?」
萌が言って、私達は屋上を後にした。
その日の放課後。
皆が教室を後にしても、一ノ瀬悟は本を読んでいる。昨日とカバーが一緒なので、たぶん小峰さんが面白いと言ったあの本だ。
今日も教室には、私と一ノ瀬の2人だけ。
「その本、おもしろい?」
私は、昨日と同じ質問をする。
「結構おもしろい、今のところ」
やはり一ノ瀬は本から目を離さずに答える。
「そうなんだ」
心の中のもやもやが大きくなる。
訊けばいいじゃない。
萌の言葉がよみがえる。心臓がどきどきする。訊く?やめとく?でも、やっぱり知りたい!
「あ、あのさ!」
思いがけず声が大きくなった。
一ノ瀬が私の方を見た。
「ん?」
「あー、何ていうか、一ノ瀬も本買うことあるんだなー、と思って」
何気ない風を装いつつも、心臓がばくばくしている。
「ほら、私のときは、いつも、私が貸してるじゃん?一ノ瀬にさ」
「あー、確かに」
そう言うと、一ノ瀬は本を閉じた。
え?本閉じちゃったよ、気分害した?やっぱり訊かない方がよかったかな。
言ったそばから後悔してしまう。
「なんて説明したらいいんだろう」
一ノ瀬が、ちょっと困ったように言った。
え?どういうこと?
「今日、俺んち来る?」
は?なぜそうなる?
でも、一ノ瀬の家は一度も行ったことがなかったので、行ってみたかった。
なので、私は、うん、と頷いた。
更新日:2023-09-03 01:37:09