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功夫編

 三人の弟子を取って半年が経過。各自、独自の啄木鳥流の模索が愈々終わって離の段階へと迎えようとしていた。啄木は既に或る弟子を次の継承者と決めて其の者に啄木鳥流に伝わる秘奥義を叩き込もうと決めていた。そんな矢先……「大変在るねええ、ハアハア!」其処へ難易度一族の師父に当たる人物が在る事を伝えにやって来る。

「如何したのじゃ、師父よ。まさか難易度に不満を持つ者達が襲撃を掛けたのか?」

「そ、そうじゃなくて……品性下劣の森にて、『快楽門』が通行人達を次々と襲撃している在るねええ!」

「何じゃと、悪い噂が絶えないと聞くあの殺人拳の門派『快楽門』が!」

「んだとぉ、子分達が危ねえ。オレが行かねえと!」

「待つのじゃ、フェイヨ。早まる真似はするな!」

「でも御師匠さん。フェイヨさんが嘗て共に過ごした人達が危ないですよ」

「そうだよお、フェイヨ君も義理人情に篤いからさあ……嘗ての仲間さん達が何か在ったら如何するんだよお」

「其れでも駄目だ、お前達は未だ力の使い方を学んでいない」

「力の、使い方?」

「何だよ、悪い奴は懲らしめる為に在る……ジジイだって若い頃はそうして嘗てのオレみたいな奴を懲らしめて来たじゃねえか!」

「そうだよお、もうおいら達は滅茶苦茶強く成ったんだよ。今ならあの快楽門の舎弟の一人や二人だって倒せる筈さあ!」

「其れは自惚れじゃ。未だ力の意味がわからん証拠じゃ」

「で、でも目の前の人は真っ先に助けるのは当たり前でしょ?」

「じゃあ其の後は? 助けた後に逆恨みした奴等の反撃が来る事は想定したのか?」

「そ、其れは!」

「そ、そうかあ。何でも腕力で解決しちゃあ其れしか方法が思い付かなく成るんだなあ」

「そうじゃ、其れが力の限界じゃ。力は持てば持つ程、より際限が利かん物。故に嘗てのわしも其れに気付かず、阿修羅の道に呑み込まれそうに成ったのじゃ!」

更新日:2023-09-04 06:24:02

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