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「…いや、待て待て。どっちにしろお前は巻き込めないだろ」
「別に今更…元研究員の経歴が役に立つなら、出し惜しみはしないよ。あんたの為なら」
「「は!?」」

驚いたのはライズとバーディだった。ジャックは慌てた風もなく口を押さえる。

「そういえば、2人には言ってなかったっけ。俺の前職はトリ・ライブラの研究員だよ…半分は研究される側だけどね」
「え…そ…それで支部には行かないって言ってたのか…?」
「身元がバレると面倒臭いから避けてただけで、別に問題があるワケでもない」
「だからって、進んで行きたい場所でもないんだろうが」

グレンは眉根を据えるが、ジャックは含み笑いで肩を竦めるばかり。

「本部はともかく、支部程度何てことないよ。あんたの無鉄砲は…嫌いじゃないけど、今回は見過ごせない。俺は付いてく」
「あの…俺さぁ…」

おずおずと、バーディが手を上げる。

「取り戻すのにどれくらい力になれるかはわかんねーけど、鳴らす機械くらいなら作れる…と思う」
「…あ」
「邪魔になるなら待ってるけど…リーダー1人でどうとかって話じゃなくね?コレ」
「全くだ。そもそも、何で俺が同じ事を考えるって思わないんだ?グレン、いい加減長い付き合いだろうが」

ライズが呆れ声を上げる。その言葉に、グレンは一瞬納得しかけるが…

「いやいや、ちょっと待て、お前ら。トリ・ライブラだぞ?あのトリ・ライブラを敵に回すって俺は言ってんだぞ?それでいいのか?そんな簡単に…」
「簡単じゃねぇよ」

ライズが遮る。片手を上げてグレンを抑えながら、続ける。

「高々研究の為に、街1つ犠牲にするって組織だ…そりゃわかってる。けどな、俺らはそこの下請けで食ってる身の上だ。このまま見過ごしたら、加担したも同じだろ。それ自体を、俺は受け容れられない。それだけだ」
「…てゆーか、そんな大袈裟な話なワケ?盗られたもの取り返すってシンプルな話だと、俺は思うんだけど…」
「まぁ、そうシンプルに行かない話なのは事実だけど…やり方次第ってのも、また事実なんだよね」
「…そうなのか?」
「正面切って殴り込むだけが能じゃないってコト。だから俺がいるんでしょ」
「凄く丸め込まれてる気がする」
「よく気づいたね。でも、本当のことだよ」

ジャックはグレンに手を伸べた。

「リーダー1人じゃ、まず上手く行かないよ。けど、俺たちがいれば何とかなる…これまでもそうだったろ?作戦ならある。どうする?」
「…後悔しないって、言い切れるか?」
「ここでやらない方が、確実に後悔する」

深く溜息を吐き…グレンは立ち上がり、ジャックの手を取った。

「…心強い」
「それでこそ俺たちのリーダーだよ…グレン」

ライズとバーディは目を合わせ、共に立ち上がる。

「そういうことは2人だけで決めないで欲しいんだが?」
「俺も、リーダー以外に付いてく気はねーんだよなぁ…今んトコ」

ぼやきながら、手を重ねる。ライズはグレンに向き直った。

「まさか、こんなことに命懸ける気じゃないんだろ?だったら…」
「ああ…そうか。そうだよな」

ライズの言わんとするところを理解し、グレンは呼吸を整えた。

「じゃあ…この先どうなるか、想像もつかんけど…全員、生きて帰ろうぜ!」
「「おぅっ!」」
「…ありがとな、皆」

返ってくるのは、安堵めいた笑い。実質、アンデッド・バスターは当面休業となるが、それでもチームに違いないことを、改めて痛感するのだった。

更新日:2023-06-17 18:22:22

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