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原始編

 此れは言葉の無い時代のお話。人はボディランゲージと鳴き声叫び声唸り声等で意思疎通を伝え合った古き良き時代。其処で主に行われるのが原始的な生活。猪や鴨を狩っては彼等の命を戴いて生活していた。或る者は集団で活動し、或る者は唯一人で生きている。此の物語では後者に当たる少年のお話。

 少年は生まれた時から一人で生きて来たような物。歳格好は十三から十五? 身長は当時の時代に反映すると百三十から百四十の間。体重は三十から三十五? 此の時代の食糧事情を踏まえると此れは妥当な線だろう。其れから髪は後ろ髪は肩迄伸ばし、前髪は目元が明確に見えるように掻き分けている。服装は猪と鴨の毛皮を剥ぎ取って組み合わせたような物否他にも植物の根で繋ぎ合わせた個所が見える。然も股間や臀部は何時でも大小の便を出せるように丸見え。但し、丸見えと捉えども其れは真下から見ればの話。時代背景に合わせれば当然の成り行きだろう。尤も、少年は大小の便を出すと言えども下半身を不潔にはしない。感染症の予防を幼い頃からやるように何時も上半身と同じ位に綺麗にしている模様。

 そんな少年の物語は生い茂る森の中で始まる。何時も通り御腹が空き、残り物の猪肉に手を付けようとしたが何と雑菌に食い荒らされて食べられた物じゃない程に成っていた。我々現代の人間が原始人への偏見で雑菌入りでも手を付けると思い込むだろうが其れじゃあ先の説明と矛盾する。彼は前に腹痛に当たった事も在る。雑菌に食い荒らされた肉がどれ程体に悪いかを本能で知っていた。故に彼は棍棒を右手に狩りへと出る。焼いたって其れは食べられた物じゃないのだからな。

 其れから少年は餌を求めて今日も只管に歩き続ける。走るのではなく? 此の時代では無駄な労力は死と変わらない。生きる為には時に歩く大切さも求められる……

 原始編

 『箱舟』

更新日:2023-05-24 18:17:23

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