- 7 / 212 ページ
苦悶
パート33レス102
【閲覧注意】
>>前回の続き
不治の病に冒され、中絶しての手術か、手遅れ覚悟で出産するか、命の選択を迫られた、ゆい。
彼女は迷う素振りも見せずに出産を選んだ。
それから数ヶ月後──出産によって消耗した体は、進行した病魔に太刀打ちできず、ゆいは苦悶に喘ぐ日々を過ごしていた。
自分はもう死ぬ。
覚悟していたはずなのに、それが目の当たりに迫ると、恐怖が全身を、心を締め付ける。
愛する夫のそばに居たい。
産まれた娘と未来を生きたい。
拓海に忘れられたくない。
ゆみの記憶に残らないなんて耐えられない!!
白昼夢に自分が居ない未来を見てしまい、ゆいはそんな譫言を呟いていた…
…それを見舞いに来ていた、あまねが聞いていることにも気が付かずに。
「ゆい、ゆい!」
「あまねちゃん…?」
心配顔で覗き込む親友に、ゆいは、夫と娘を託す言葉を告げた。
それが親友の人生を縛り付ける呪いの言葉とわかっていたのに。
深夜、独り病室でゆいは泣いていた。
病魔の苦しみではなく、親友に呪いをかけた後悔に泣いていた。
「ごめんね、あまねちゃん……ごめんね……」
己の罪深さと病魔に命を削られていくゆいの元に、時間の扉を開けて、未来から一人のプリキュアが姿を現した。
「私はキュアトゥモロー。品田ゆいさん…いいえ、キュアプレシャス。あなたに未来を伝えにやってきました」
そう告げたトゥモローのそばには、かつてのパートナー妖精コメコメの姿もあった……
>>前回の続き
不治の病に冒され、中絶しての手術か、手遅れ覚悟で出産するか、命の選択を迫られた、ゆい。
彼女は迷う素振りも見せずに出産を選んだ。
それから数ヶ月後──出産によって消耗した体は、進行した病魔に太刀打ちできず、ゆいは苦悶に喘ぐ日々を過ごしていた。
自分はもう死ぬ。
覚悟していたはずなのに、それが目の当たりに迫ると、恐怖が全身を、心を締め付ける。
愛する夫のそばに居たい。
産まれた娘と未来を生きたい。
拓海に忘れられたくない。
ゆみの記憶に残らないなんて耐えられない!!
白昼夢に自分が居ない未来を見てしまい、ゆいはそんな譫言を呟いていた…
…それを見舞いに来ていた、あまねが聞いていることにも気が付かずに。
「ゆい、ゆい!」
「あまねちゃん…?」
心配顔で覗き込む親友に、ゆいは、夫と娘を託す言葉を告げた。
それが親友の人生を縛り付ける呪いの言葉とわかっていたのに。
深夜、独り病室でゆいは泣いていた。
病魔の苦しみではなく、親友に呪いをかけた後悔に泣いていた。
「ごめんね、あまねちゃん……ごめんね……」
己の罪深さと病魔に命を削られていくゆいの元に、時間の扉を開けて、未来から一人のプリキュアが姿を現した。
「私はキュアトゥモロー。品田ゆいさん…いいえ、キュアプレシャス。あなたに未来を伝えにやってきました」
そう告げたトゥモローのそばには、かつてのパートナー妖精コメコメの姿もあった……
更新日:2023-04-29 00:43:15