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苦悶

パート33レス102
【閲覧注意】

>>前回の続き


 不治の病に冒され、中絶しての手術か、手遅れ覚悟で出産するか、命の選択を迫られた、ゆい。
 彼女は迷う素振りも見せずに出産を選んだ。


 それから数ヶ月後──出産によって消耗した体は、進行した病魔に太刀打ちできず、ゆいは苦悶に喘ぐ日々を過ごしていた。
 

 自分はもう死ぬ。
 覚悟していたはずなのに、それが目の当たりに迫ると、恐怖が全身を、心を締め付ける。


 愛する夫のそばに居たい。
 産まれた娘と未来を生きたい。
 拓海に忘れられたくない。
 ゆみの記憶に残らないなんて耐えられない!!


 白昼夢に自分が居ない未来を見てしまい、ゆいはそんな譫言を呟いていた…

 …それを見舞いに来ていた、あまねが聞いていることにも気が付かずに。


「ゆい、ゆい!」

「あまねちゃん…?」


 心配顔で覗き込む親友に、ゆいは、夫と娘を託す言葉を告げた。
 それが親友の人生を縛り付ける呪いの言葉とわかっていたのに。


 深夜、独り病室でゆいは泣いていた。
 病魔の苦しみではなく、親友に呪いをかけた後悔に泣いていた。


「ごめんね、あまねちゃん……ごめんね……」


 己の罪深さと病魔に命を削られていくゆいの元に、時間の扉を開けて、未来から一人のプリキュアが姿を現した。


「私はキュアトゥモロー。品田ゆいさん…いいえ、キュアプレシャス。あなたに未来を伝えにやってきました」


 そう告げたトゥモローのそばには、かつてのパートナー妖精コメコメの姿もあった……

更新日:2023-04-29 00:43:15

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