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放課後の帰り道
パート37レス84
あまねと拓海は高校生。けれどしんせん中学校まで通学路が一部共通なので、ゆい、あまね、拓海は三人一緒に登下校してます(ご都合主義)
側から見ると品田がゆいに片思いしているのはあまりにも明らかだ。
なのにゆいは相変わらず無自覚だ。脈がないんじゃなく、この子は品田がこの先もずっと側に居るのが当たり前と思ってるのがタチが悪い。
だから品田と私が一足先に卒業したら少しは寂しさを覚えて自分の気持ちを自覚するかと思ったが、ご覧の通り、三人横並びで登下校する毎日で、これでは彼女の情緒が育つわけが無い。
去年と変わらず、私と品田でゆいを挟む形で大通りに沿った歩道を歩きながら、私は密かにため息をついた。
今朝もゆいは思春期男子には精神衛生上よろしくない距離感で品田に無自覚べったりだ。
その一方、品田は品田で相変わらずの思春期童◯ツンデレムーヴだ。そういうとこだぞ、品田。
そもそもこれは半分は品田の責任だ。お前が進学先の候補理由に通学経路を考慮していたのは知っているんだぞ。
まぁ私も同じ理由で同じ高校を選んでしまったがな!
……ゆいが絡まなければ品田は随分と有能で優秀だ。
色々ハイスペックで物腰も落ち着いているから男子女子問わず評判がいい。隠れて想いを寄せてる生徒も(男子女子問わず)多いと噂に聞く。多様性万歳。
ゆいよ、このままでは君の幼馴染は他に獲られてしまうぞ。そうなってから自覚したって遅いんだからな。
だからそうだな、ここは私一肌脱ぐとしよう。
いや、脱ぐと言っても別にそんな変なことをする気は無いからな。すぐにそっちに妄想が暴走するのはあにまん民の悪い癖だぞ?
放課後の帰り道、いつも通り途中でゆいと合流し、私たちは三人並んで下校する。
でも今日は道路沿いから、私、品田、ゆいの並びだ。まぁ、ただそれだけだ。
でもこれからずっとこの並びで歩くようにすれば、ゆいも少しずつ私が品田を意識しているかもと焦りが生まれるはずだ。
それだけだぞ?
荒療治は体に悪いからな?
でも、うむ…ちょっとアレだな。
いつもより少しだけ品田と並ぶ距離を詰めてみたが、ちょっと、緊張…するな…。
品田、最近また背が伸びたな。
見上げる角度で品田を眺めたことないから、ちょっと新鮮だな…
ずっとゆいに向けられていた品田の視線が、ふと私に向いて目が合った。
(──ッ!?)
不覚にも思考が空白になり、その隙に品田に腕を取られる。
「え、あっ、品田?」
「こっち来い」
腕を引かれ、私は品田と立ち位置を入れ替えられた。
「こっから先、ガードレール無いからな」
ぶっきらぼうにそう言って、交通量の多い車道側を歩く拓海──あ、いや、品田……
本当、そういうところだぞ……品田。
あまねと拓海は高校生。けれどしんせん中学校まで通学路が一部共通なので、ゆい、あまね、拓海は三人一緒に登下校してます(ご都合主義)
側から見ると品田がゆいに片思いしているのはあまりにも明らかだ。
なのにゆいは相変わらず無自覚だ。脈がないんじゃなく、この子は品田がこの先もずっと側に居るのが当たり前と思ってるのがタチが悪い。
だから品田と私が一足先に卒業したら少しは寂しさを覚えて自分の気持ちを自覚するかと思ったが、ご覧の通り、三人横並びで登下校する毎日で、これでは彼女の情緒が育つわけが無い。
去年と変わらず、私と品田でゆいを挟む形で大通りに沿った歩道を歩きながら、私は密かにため息をついた。
今朝もゆいは思春期男子には精神衛生上よろしくない距離感で品田に無自覚べったりだ。
その一方、品田は品田で相変わらずの思春期童◯ツンデレムーヴだ。そういうとこだぞ、品田。
そもそもこれは半分は品田の責任だ。お前が進学先の候補理由に通学経路を考慮していたのは知っているんだぞ。
まぁ私も同じ理由で同じ高校を選んでしまったがな!
……ゆいが絡まなければ品田は随分と有能で優秀だ。
色々ハイスペックで物腰も落ち着いているから男子女子問わず評判がいい。隠れて想いを寄せてる生徒も(男子女子問わず)多いと噂に聞く。多様性万歳。
ゆいよ、このままでは君の幼馴染は他に獲られてしまうぞ。そうなってから自覚したって遅いんだからな。
だからそうだな、ここは私一肌脱ぐとしよう。
いや、脱ぐと言っても別にそんな変なことをする気は無いからな。すぐにそっちに妄想が暴走するのはあにまん民の悪い癖だぞ?
放課後の帰り道、いつも通り途中でゆいと合流し、私たちは三人並んで下校する。
でも今日は道路沿いから、私、品田、ゆいの並びだ。まぁ、ただそれだけだ。
でもこれからずっとこの並びで歩くようにすれば、ゆいも少しずつ私が品田を意識しているかもと焦りが生まれるはずだ。
それだけだぞ?
荒療治は体に悪いからな?
でも、うむ…ちょっとアレだな。
いつもより少しだけ品田と並ぶ距離を詰めてみたが、ちょっと、緊張…するな…。
品田、最近また背が伸びたな。
見上げる角度で品田を眺めたことないから、ちょっと新鮮だな…
ずっとゆいに向けられていた品田の視線が、ふと私に向いて目が合った。
(──ッ!?)
不覚にも思考が空白になり、その隙に品田に腕を取られる。
「え、あっ、品田?」
「こっち来い」
腕を引かれ、私は品田と立ち位置を入れ替えられた。
「こっから先、ガードレール無いからな」
ぶっきらぼうにそう言って、交通量の多い車道側を歩く拓海──あ、いや、品田……
本当、そういうところだぞ……品田。
更新日:2023-04-29 00:54:36