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言い訳

パート26レス103

「ごめん、ゆい。ちょっと体調悪くて…明日…遅れるかも……ッんく!」

『拓海、大丈夫?』

『あ、ああ、ちょっと咳が…な…ぁッ」


 スマホ片手に電話する拓海の背後から、あまねが腰に縋りついて後ろと前を同時に弄る。

 情けなく果てながら通話を終えた拓海は、あまねを振り解き、罪悪感と己の不甲斐なさから、思わずあまねに手を上げてしまう。


「果彩!お前はいつもそうやって、俺を!」


 あまねをベッドに押し倒し、首に手をかけながら乱暴に腰を振る拓海。言葉にできない激情を組み敷いた諸悪の根源にぶつけながらも、彼の脳裏にはゆいの姿があった。


(これがもし、ゆいだったら?)


 自分でもゾッとする想像なのに、下半身がこらえきれないほど熱くなる。気がつけば、泣きながら果てていた。

 そんな彼を、あまねは薄れゆく視界の中で見上げ、微笑んでいた。

 そして部屋の隅に落ちたスマホの画面には、通話中の文字がまだ表示されていた……


更新日:2023-04-29 00:25:32

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