- 5 / 26 ページ
真・魔道真子2『静室組の詮索』
次の日は藍啓仁という元宗主に挨拶をした。
最初は見たこともない神器に目を見張り、
しばし謎の多い少年に動揺もあったらしい。
藍宗主が説明に充分な補足をしてくれて
客人として認められた。
そして最後に
「雲深不知処に滞在するならば
藍氏の家訓を覚えるように」
と書簡を渡されてあとにした。
まだ自力では読めないが翻訳の
ファンクションキーを使えば一通りは読める。
「言葉をなるべく覚えておきたい」というと
藍曦臣は蔵書閣という場所に寄り、筆と紙、そして硯までも揃えてくれた。
======
「なぁ藍湛 最近発覚した雲深不知処で起きた事件知ってるか?」
静室に活気のある声音が響き渡る。
「…一月程前に来たという異国の少年のことでは?」
一方話しかけられた藍忘機は
譜学の本から目を離さずに返答した。
「そーだよ!あの子供に関する話!
だけど昨日起きた事はまだ知らないだろ?」
「昨日起きたこと、とは?」
「藍湛もあの異国の子供が陰気に当てられて運ばれてきた後、沢蕪君が引きとってとりあえず面倒みることになった…までは知ってるよな?
その少年、まだ言葉が不自由だがかなりの美少年でその兄君がかなり入れ込んでるって噂だ。」
後半から耳元で楽しげにわざと声を顰める。
「…本当なのか?」
「嘘ついてどうするんだ?最初に出会した思追達から聞いたんだ。俺も沢蕪君があの子にかなり入れあげてるってのは遠目で見てる。姑蘇藍氏のかなり上等な衣まで用意してたんだ。まさか藍先生まで目を瞑るなんてな」
「その少年…名は」
「えーと…確か『零夢』と名乗ってたはずだ…」
愛用の陳情と呼んでいる竹笛の先をコツコツと額に当てる。
「零夢…」
歳は十三…否、もっと幼くも見えたが十五、六だという。
「それだけじゃない、昨日の話だ。
なんとその子供絡みで内弟子の1人が破門寸前だって話だ」
「懲罰を受けた者がいたとは聞いている」
「本当の理由をきいたか?表向きには「酷い侮辱があった」って話だがそんなの軽い罰の範疇だろ?…なんとそいつ…その子に猥褻行為をしようとしたらしい。沢蕪君が珍しく激昂して破門しようとしたところを件の少年が止めたんだとさ。
厳罰で戒鞭四百回。まだ動けないらしい。
…いよいよ奇妙だと思わないか?」
「……兄上らしくない」
そこまで耳にした藍忘機はパタリと本を閉じる。
「な!…藍湛そいつ何者なのか調べてみないか?
藍湛だって素性のわからない奴に兄君を絆されたら尊敬どころか見るに耐えないだろ?
姑蘇藍氏に悪影響が出たら大変だ な、仙督」
軽い調子でその仙督である藍忘機に肩を組む魏無羨。
「わかった」
普段ならば子弟の懲罰の内容など気にも止めない。
そこに宗主たる兄までもが絡んだ上、道呂がまるで起こってもないことを唆すような言い草をしているが、顔には興味津々と書いてある。
それを見抜いた上でとりあえずは付き合うしか無いようだと悟った。
最初は見たこともない神器に目を見張り、
しばし謎の多い少年に動揺もあったらしい。
藍宗主が説明に充分な補足をしてくれて
客人として認められた。
そして最後に
「雲深不知処に滞在するならば
藍氏の家訓を覚えるように」
と書簡を渡されてあとにした。
まだ自力では読めないが翻訳の
ファンクションキーを使えば一通りは読める。
「言葉をなるべく覚えておきたい」というと
藍曦臣は蔵書閣という場所に寄り、筆と紙、そして硯までも揃えてくれた。
======
「なぁ藍湛 最近発覚した雲深不知処で起きた事件知ってるか?」
静室に活気のある声音が響き渡る。
「…一月程前に来たという異国の少年のことでは?」
一方話しかけられた藍忘機は
譜学の本から目を離さずに返答した。
「そーだよ!あの子供に関する話!
だけど昨日起きた事はまだ知らないだろ?」
「昨日起きたこと、とは?」
「藍湛もあの異国の子供が陰気に当てられて運ばれてきた後、沢蕪君が引きとってとりあえず面倒みることになった…までは知ってるよな?
その少年、まだ言葉が不自由だがかなりの美少年でその兄君がかなり入れ込んでるって噂だ。」
後半から耳元で楽しげにわざと声を顰める。
「…本当なのか?」
「嘘ついてどうするんだ?最初に出会した思追達から聞いたんだ。俺も沢蕪君があの子にかなり入れあげてるってのは遠目で見てる。姑蘇藍氏のかなり上等な衣まで用意してたんだ。まさか藍先生まで目を瞑るなんてな」
「その少年…名は」
「えーと…確か『零夢』と名乗ってたはずだ…」
愛用の陳情と呼んでいる竹笛の先をコツコツと額に当てる。
「零夢…」
歳は十三…否、もっと幼くも見えたが十五、六だという。
「それだけじゃない、昨日の話だ。
なんとその子供絡みで内弟子の1人が破門寸前だって話だ」
「懲罰を受けた者がいたとは聞いている」
「本当の理由をきいたか?表向きには「酷い侮辱があった」って話だがそんなの軽い罰の範疇だろ?…なんとそいつ…その子に猥褻行為をしようとしたらしい。沢蕪君が珍しく激昂して破門しようとしたところを件の少年が止めたんだとさ。
厳罰で戒鞭四百回。まだ動けないらしい。
…いよいよ奇妙だと思わないか?」
「……兄上らしくない」
そこまで耳にした藍忘機はパタリと本を閉じる。
「な!…藍湛そいつ何者なのか調べてみないか?
藍湛だって素性のわからない奴に兄君を絆されたら尊敬どころか見るに耐えないだろ?
姑蘇藍氏に悪影響が出たら大変だ な、仙督」
軽い調子でその仙督である藍忘機に肩を組む魏無羨。
「わかった」
普段ならば子弟の懲罰の内容など気にも止めない。
そこに宗主たる兄までもが絡んだ上、道呂がまるで起こってもないことを唆すような言い草をしているが、顔には興味津々と書いてある。
それを見抜いた上でとりあえずは付き合うしか無いようだと悟った。
更新日:2023-03-19 19:31:13