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真・魔道真子1『異国の少年』
「哇!帮帮我!!」
(助けてくれ!)
日も暮れた山道へと飛び出してきた男は
何かを叫びながら走っていく。
「喂!你也要逃跑!!」
(おい!あんたも逃げろ!)
男は進行方向から来た道へと
すれ違い様に何か叫んで駆けていく。
(何だっけ…)
この国の言葉はプログラム予習してきたものの
目的と同時に記憶消去が起きたせいか
内部検索が追いつかない。
雰囲気から察するに何かから逃げているようである。
零夢は男が逃げてきた方向へと闇夜に目を細めると
蒼い湖面のような瞳を金色へと変貌させた。
(確かに前方…林の奥、妙なエネルギー反応がある…
妖邪ってやつか?ちょっと試したいもあったし丁度いい、
…これがダメだったら頑張って逃げよう…)
懐から紙符を取り出し、
血で印を切る。
短刀を中空へ放つと符を投げた。
【勅令 相生分魄回应】
『あの子と友達になってあげなよ』
一瞬ズキッと雷のように頭痛が駆け抜け、目を細めて堪える。
零夢から霧のような靄が発生し、中空の短刀へと収束して光を纏うと零夢本人とどこか面差しの似た青銀の髪をした少年の姿に変わり、森の中へ進む。
邪鬼が黒い霧を纏って飲み込もうと怨念の雄叫びをあげると
実体化した少年は背筋に脊椎を模した骨格の尾をしならせ、先端を刃に変化させて斬り裂いた。
怨念の陰気が霧散していく。
少年は何事もなかったかのように零夢の元に戻ってきた、
「やった!父上!できました!」
零夢は目を輝かせて両手を握る。
「…所詮父上の真似事だろう」
短刀から実体化したやや背の高い少年は根本的に違うと言いたげに呟いた。
「いいんだ。結局従うあたり零欖もしたかったんじゃないのか?」
首を傾げて半眼で見上げる。
「僕がいなきゃ困ってたのはそっちだろ…それと」
「あーあー、シークレットオーダーはそんな喋っちゃダメだ。お疲れ様!」
「(名前変えてた癖に言っちゃってるな)…霊力、もう無いぞ」
そういうと少年は空中に透けてかき消え、姿は短刀へと戻り、紙符がハラリと剥がれて焼け落ちた。
「実験成功」
満足気に喜んだのも束の間、
どうやら本当に霊力もない。
(おかしいな…余力あると思ってたけど…
この術はそんなに霊力消費激しいのか)
森の陰気も影響しているのか身体が重い。
この世界に無理にチャネリングを
して来た影響で何の為に
難解な世界線移動を行ったかも
すっぽりと記憶から抜け落ちている。
(零欖にきけばよかったかな)
自分がいた世界線軸の記憶はある。
中国を選んだのも何となく自分だと解っていたが
完全に目的を見失っていた。
仕方なく街で健康に良い仙薬だと言って売った
サプリメントで得た金子も僅か。
手元には飴ひとつしかない。
近くの木に凭れかかり、明日を待つ他ない。
(街に…戻ろうかな)
頭痛が悪化して妙に悪寒が強い。
そうすると
来た道を人影が急ぎ足に迫り、
こちらに気付くと走り寄ってくる。
「大丈夫ですか?
此処を通った方々に邪鬼が出たと聞きました。
お怪我は?」
白い装束の剣を携えた青年だった。
(なんだろう、多分心配されてる)
「あれは破壊したから…問題ない」
意識が朦朧としている。
相手も言葉が通じずに同様していた。
「思追、どうした?怪我人か?」
「わからない。怪我は無いように見える」
手首を取って確かめられる。
「銀髪の…子供か?格好からして異国の者だな」
「言葉もわからなかった。どうやら熱が酷い。
陰気に当てられているみたいだ。」
「まさか連れ帰る気か?」
「こんな陰気の強い山奥に意識も無い状態では放っておけない」
「…それもそうだ」
(助けてくれ!)
日も暮れた山道へと飛び出してきた男は
何かを叫びながら走っていく。
「喂!你也要逃跑!!」
(おい!あんたも逃げろ!)
男は進行方向から来た道へと
すれ違い様に何か叫んで駆けていく。
(何だっけ…)
この国の言葉はプログラム予習してきたものの
目的と同時に記憶消去が起きたせいか
内部検索が追いつかない。
雰囲気から察するに何かから逃げているようである。
零夢は男が逃げてきた方向へと闇夜に目を細めると
蒼い湖面のような瞳を金色へと変貌させた。
(確かに前方…林の奥、妙なエネルギー反応がある…
妖邪ってやつか?ちょっと試したいもあったし丁度いい、
…これがダメだったら頑張って逃げよう…)
懐から紙符を取り出し、
血で印を切る。
短刀を中空へ放つと符を投げた。
【勅令 相生分魄回应】
『あの子と友達になってあげなよ』
一瞬ズキッと雷のように頭痛が駆け抜け、目を細めて堪える。
零夢から霧のような靄が発生し、中空の短刀へと収束して光を纏うと零夢本人とどこか面差しの似た青銀の髪をした少年の姿に変わり、森の中へ進む。
邪鬼が黒い霧を纏って飲み込もうと怨念の雄叫びをあげると
実体化した少年は背筋に脊椎を模した骨格の尾をしならせ、先端を刃に変化させて斬り裂いた。
怨念の陰気が霧散していく。
少年は何事もなかったかのように零夢の元に戻ってきた、
「やった!父上!できました!」
零夢は目を輝かせて両手を握る。
「…所詮父上の真似事だろう」
短刀から実体化したやや背の高い少年は根本的に違うと言いたげに呟いた。
「いいんだ。結局従うあたり零欖もしたかったんじゃないのか?」
首を傾げて半眼で見上げる。
「僕がいなきゃ困ってたのはそっちだろ…それと」
「あーあー、シークレットオーダーはそんな喋っちゃダメだ。お疲れ様!」
「(名前変えてた癖に言っちゃってるな)…霊力、もう無いぞ」
そういうと少年は空中に透けてかき消え、姿は短刀へと戻り、紙符がハラリと剥がれて焼け落ちた。
「実験成功」
満足気に喜んだのも束の間、
どうやら本当に霊力もない。
(おかしいな…余力あると思ってたけど…
この術はそんなに霊力消費激しいのか)
森の陰気も影響しているのか身体が重い。
この世界に無理にチャネリングを
して来た影響で何の為に
難解な世界線移動を行ったかも
すっぽりと記憶から抜け落ちている。
(零欖にきけばよかったかな)
自分がいた世界線軸の記憶はある。
中国を選んだのも何となく自分だと解っていたが
完全に目的を見失っていた。
仕方なく街で健康に良い仙薬だと言って売った
サプリメントで得た金子も僅か。
手元には飴ひとつしかない。
近くの木に凭れかかり、明日を待つ他ない。
(街に…戻ろうかな)
頭痛が悪化して妙に悪寒が強い。
そうすると
来た道を人影が急ぎ足に迫り、
こちらに気付くと走り寄ってくる。
「大丈夫ですか?
此処を通った方々に邪鬼が出たと聞きました。
お怪我は?」
白い装束の剣を携えた青年だった。
(なんだろう、多分心配されてる)
「あれは破壊したから…問題ない」
意識が朦朧としている。
相手も言葉が通じずに同様していた。
「思追、どうした?怪我人か?」
「わからない。怪我は無いように見える」
手首を取って確かめられる。
「銀髪の…子供か?格好からして異国の者だな」
「言葉もわからなかった。どうやら熱が酷い。
陰気に当てられているみたいだ。」
「まさか連れ帰る気か?」
「こんな陰気の強い山奥に意識も無い状態では放っておけない」
「…それもそうだ」
更新日:2023-03-19 19:32:57