- 68 / 229 ページ
嵐
大きくうねった波と吹き荒れる風…そして強く打ち付ける雨
狭い籠の中で何も出来ず嵐が去るのを待つしか無かった
「こりゃ本格的にまずいな」
ピクリとエルフの娘が動く…何かを気にしている様子だ
「ん!!?エルフの娘?」
「どうした!?」
「いや…」(何か感じた…心を触ってきた)
「……」エルフの娘は何も言わず眼を閉じた
「ちょっと外を見てくる」
「海に落ちるなよ?」
「紐は付けてあるから大丈夫」
甲板に出た
「どうだ!!?」
「何も見えない…っとまてよ…なんだろうアレは?」
「ん?何かあるのか?」
「向こうの方にも船が見える」
「どれ…おおおおお!でかい船だな…海賊船では無いようだ」
「並行して同じ方向に向かってる?」
「嵐じゃみんな同じ方向に流される」
「あ!!!あれは!!」
「なんだ?どこよ?」
「クラーケンの触手が見えた」
「なぬ!!クラーケンに襲われてるってか?まじかよ…」
「ううぅぅ…聞いた事がある」
「おい!しゃべらなくても良い。寝てろ!」
「でかい船は機械の国の船だ…ううぅぅぅ…きっとトロールを乗せてる…はぁはぁ」
「もう良い!!しゃべるな!!」
ドカン! ドカン!
「大砲の音!!やっぱあのでかい船は戦ってんな…」
「だめだ!遠くて見えなくなった」
ドカン! ドカン!
「音だけか…」
「こんな嵐でクラーケンに襲われちゃたまらんわな」
「クラーケンはトロールを助けるつもりなのかな?」
「さぁな?助けてもここは海のど真ん中なんだが…」
「クラーケンは世界を救おうとしている…」囚人が口を開いた
「え?」
「我々もそのつもりで魔王城に行こうとしているんだろう?」
「そうだ…僕は魔王を倒して世界を救う為に此処に居る」
「人間と魔物…いったいどっちが魔物かなのか…」
ドカン! ドカン!
翌朝
嵐は去り雲の隙間から朝日が射して居た
「嵐は去ったようだね」
「おう!大漁だな」
「うわぁ~お魚さんがいっぱ~いウフフ」
「思わぬ収穫かな?」
「甲板に打ち上げられた魚を捕まえてくれ!!今日は海鮮料理だ!」
「わかった!帆も張るよ?」
「おう!スピード上げるぞ」
「フン!フン!フン!」ロープを手繰る手に力が入る
「お魚さん!まって~ウフフ」
数日後
航海は順調に進んでいる
「まだ商人の具合は良くないのかい?」
「うん…食事しても吐いちゃうみた~い」
「早く陸に上げて休ませてやらんとな…」
「そんなに心臓の調子が良くないのか…」
「数年の命と言われてもう数年経ってる…いつ逝ってもおかしく無い」
「そんな風には見えなかった」
「本当は走る事すら出来ん」
「でも監獄まで一緒に…」
「まぁ…やせ我慢だな」
「そうだったんだ…」
無人島
「お~い!!陸が見えたぞ~!!」
「ありゃ無人島だ…この位置だと港町まで後3日って所だな」
「目印になってるんだ」
「夜になるとあそこに灯台が灯る」
「じゃぁ無人島じゃないね~変なの~ウフフ」
「おぁ!!商人!!立てる様になったのか?」
「あぁ…もう大丈夫だよ」
「フラフラじゃ無ぇか…無理すんなよ?」
「商人さん何か食べるぅ?」
「すこし食べようと思う」
「精の付くもの用意してくれぇ!」
「恐い顔のお魚さんはいっぱいあるよ~」
「それで良い。丸ごと鍋にしてくれぇ」
港町近海
「ねぇ~~まだ着かないの~~?もう飽きたよぅ」
「今日の夕暮れには港町に着く筈だ…他の商船もチラチラ見えてる」
「港町かぁ…つい何ヶ月か前に来た筈なのに随分経った気がする…」
「港町はねぇ…私が通った教会があるんだよ~ウフフ」
「ハハじゃぁ昔の僧侶に会えるかもしれないな」
「うん!!でもね…4~5年前ならまだ来てないと思う~」
「そうか…残念だ…その頃は何してたんだい?」
「まだ孤児院だったかな~あんまり覚えて無いの」
「うはは俺も孤児院の出だ」
「みんな帰る場所が無いのか…」
「お前は何処出身なんだ?」
「向こう側の大陸だよ…最果てに小さな村が有るんだ」
「ほーー…そういや肌の具合と髪質がちっと違うな?」
「向こうの大陸は赤毛が多いね…僕は黒い方だけど」
「僧侶も良く見ると肌質が少し違うな?」
「かわいい?ウフフ」
「まぁなんつうか…お人形さんみたいな感じだわな」
「あ!!陸が見えて来た~」
「マジか!!下船の準備しとけよ?騎士!!帆走を加減するから手伝え!!」
「あ…うん!!」
大きくうねった波と吹き荒れる風…そして強く打ち付ける雨
狭い籠の中で何も出来ず嵐が去るのを待つしか無かった
「こりゃ本格的にまずいな」
ピクリとエルフの娘が動く…何かを気にしている様子だ
「ん!!?エルフの娘?」
「どうした!?」
「いや…」(何か感じた…心を触ってきた)
「……」エルフの娘は何も言わず眼を閉じた
「ちょっと外を見てくる」
「海に落ちるなよ?」
「紐は付けてあるから大丈夫」
甲板に出た
「どうだ!!?」
「何も見えない…っとまてよ…なんだろうアレは?」
「ん?何かあるのか?」
「向こうの方にも船が見える」
「どれ…おおおおお!でかい船だな…海賊船では無いようだ」
「並行して同じ方向に向かってる?」
「嵐じゃみんな同じ方向に流される」
「あ!!!あれは!!」
「なんだ?どこよ?」
「クラーケンの触手が見えた」
「なぬ!!クラーケンに襲われてるってか?まじかよ…」
「ううぅぅ…聞いた事がある」
「おい!しゃべらなくても良い。寝てろ!」
「でかい船は機械の国の船だ…ううぅぅぅ…きっとトロールを乗せてる…はぁはぁ」
「もう良い!!しゃべるな!!」
ドカン! ドカン!
「大砲の音!!やっぱあのでかい船は戦ってんな…」
「だめだ!遠くて見えなくなった」
ドカン! ドカン!
「音だけか…」
「こんな嵐でクラーケンに襲われちゃたまらんわな」
「クラーケンはトロールを助けるつもりなのかな?」
「さぁな?助けてもここは海のど真ん中なんだが…」
「クラーケンは世界を救おうとしている…」囚人が口を開いた
「え?」
「我々もそのつもりで魔王城に行こうとしているんだろう?」
「そうだ…僕は魔王を倒して世界を救う為に此処に居る」
「人間と魔物…いったいどっちが魔物かなのか…」
ドカン! ドカン!
翌朝
嵐は去り雲の隙間から朝日が射して居た
「嵐は去ったようだね」
「おう!大漁だな」
「うわぁ~お魚さんがいっぱ~いウフフ」
「思わぬ収穫かな?」
「甲板に打ち上げられた魚を捕まえてくれ!!今日は海鮮料理だ!」
「わかった!帆も張るよ?」
「おう!スピード上げるぞ」
「フン!フン!フン!」ロープを手繰る手に力が入る
「お魚さん!まって~ウフフ」
数日後
航海は順調に進んでいる
「まだ商人の具合は良くないのかい?」
「うん…食事しても吐いちゃうみた~い」
「早く陸に上げて休ませてやらんとな…」
「そんなに心臓の調子が良くないのか…」
「数年の命と言われてもう数年経ってる…いつ逝ってもおかしく無い」
「そんな風には見えなかった」
「本当は走る事すら出来ん」
「でも監獄まで一緒に…」
「まぁ…やせ我慢だな」
「そうだったんだ…」
無人島
「お~い!!陸が見えたぞ~!!」
「ありゃ無人島だ…この位置だと港町まで後3日って所だな」
「目印になってるんだ」
「夜になるとあそこに灯台が灯る」
「じゃぁ無人島じゃないね~変なの~ウフフ」
「おぁ!!商人!!立てる様になったのか?」
「あぁ…もう大丈夫だよ」
「フラフラじゃ無ぇか…無理すんなよ?」
「商人さん何か食べるぅ?」
「すこし食べようと思う」
「精の付くもの用意してくれぇ!」
「恐い顔のお魚さんはいっぱいあるよ~」
「それで良い。丸ごと鍋にしてくれぇ」
港町近海
「ねぇ~~まだ着かないの~~?もう飽きたよぅ」
「今日の夕暮れには港町に着く筈だ…他の商船もチラチラ見えてる」
「港町かぁ…つい何ヶ月か前に来た筈なのに随分経った気がする…」
「港町はねぇ…私が通った教会があるんだよ~ウフフ」
「ハハじゃぁ昔の僧侶に会えるかもしれないな」
「うん!!でもね…4~5年前ならまだ来てないと思う~」
「そうか…残念だ…その頃は何してたんだい?」
「まだ孤児院だったかな~あんまり覚えて無いの」
「うはは俺も孤児院の出だ」
「みんな帰る場所が無いのか…」
「お前は何処出身なんだ?」
「向こう側の大陸だよ…最果てに小さな村が有るんだ」
「ほーー…そういや肌の具合と髪質がちっと違うな?」
「向こうの大陸は赤毛が多いね…僕は黒い方だけど」
「僧侶も良く見ると肌質が少し違うな?」
「かわいい?ウフフ」
「まぁなんつうか…お人形さんみたいな感じだわな」
「あ!!陸が見えて来た~」
「マジか!!下船の準備しとけよ?騎士!!帆走を加減するから手伝え!!」
「あ…うん!!」
更新日:2023-03-20 08:07:51