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7.港町
商船
一行は陸沿いに東へ…始まりの国の港町へ船を進めた
陸を見失わない様に航海すれば迷う事も無い…遠洋に出るより余程安全だ
「ドラゴンの涙にはそんな効果が…」商人は驚いた顔で言った
「ドラゴンは肉体が死んだ後もスカルドラゴンとして蘇る…それと同じだ」
「心はどうなる?」
「心はしばらくは肉体に残る…維持する為には新鮮な血が必要だ」
「それが吸血鬼の起源か…」
「俺はもう血を与えられなくなって随分たつ…正気を保つのが辛い…グガガ」
「新鮮な血は人間以外の物でも良いのかな?」
「ガガガガ…知らん…グガガ」…囚人は時折ゾンビの様に動きがおかしい
「新鮮な血か…」
しばらく後…
フラフラする商人に僧侶が駆け寄った
「どうしたの商人?顔色がわる~い」
「こ、これを囚人に持って行って」
「え!?誰か~~~助けて~~!!」
「ど、どうした?」騎士が飛び出した
「ぼ、僕の血を囚人に…」
「こんなに!!?僧侶!商人の介抱をお願い」
「うん…」
「おいおいどうした!!」
「商人が囚人の為に自分の血を抜いたみたいだ」
「なぬ!!馬鹿やろう!抜きすぎだ!薄めた塩水を飲ませろ!」
「僕は大丈夫だよ…囚人に血を早く…」
騎士は囚人の所へ生き血を持って行った
「ゴクゴクゴク…」一気に飲み干す
「き、気分は?」
「最悪だ」
「正気な様だね」
「自分が魔物になるのを感じる」
「不便な体だね」
「だが世界を救う為に私はまだ動ける」
「血はどのくらいの頻度で必要に?」
「1ヶ月か2ヶ月か…分からん」
「商人は自分の血を半分くらい抜いたみたいだ」
「クックックまだ千人分には程遠いな」
「商人が全部悪い訳では無いよ…」
「そんな事は分かっている…私も片棒を担いでいたのだから」
「あまり商人を攻めないで…」
「フフ…何年ぶりかの外の空気…呼吸をしていればさぞ美味いだろうな」
「ハハ…死人は言うことが違う」
「私がもしも正気を失ったら一思いに心臓を突いてくれ」
「わかった」
「人間のままでいたいんだ」
---あなたは多分まだ死なない---
船尾
そこでエルフの娘は海を眺めていた
「また黄昏ておるのか?」
「魔女様…」
「囚われたエルフの行く末が心配じゃのぅ」
「はい…私の姉たちも行方不明のまま…」
「エルフは肉体が滅んでも魂は再び新たな肉体を持って生まれるというが…」
「同じ肉体とは限りません…木々に生まれ変わったり…花になったり…」
「ふむ…この世界に再び生まれる事を望むか?」
「愛があれば又…」
「森で静かに生きる…それが答えかも知れんのぅ」
「私は精霊樹に生まれ変わりたい…そしてすべてを愛したい…」
「ほうか…天候が怪しゅうなってきたのぅ…雨に濡れん様にな?」
甲板
「お~い!帆をたたむのを手伝え!!」
「これかい!?」
「そうだ!!それを引っ張れ!!」
「フン!フン!フン!」
「ハハー良い運動になるなー!!」
「なかなかキツイねこれ…」ロープを手繰り寄せるのはかなりの重労働だ
「体を紐で縛っておけよ!!落ちん様にな!!」
「転覆する可能性は!?」
「無いとは言えんが最悪は気球で脱出する」
「みんな一箇所に集まった方が良いな」
「今日は気球の部屋の中でお泊りだハハー」
「今のうちにみんな呼んでくる」
「おう!呼んでこい!!」
気球の籠
「僧侶!商人の容態は?」
「まだ血が足りないみた~い」
「7人で気球の部屋は少し狭いのぅ…エルフの娘やこっちへおいで」
「にぎやかで良いじゃねぇか」
「みんなはぐれない様に体を紐で縛って」
「う、うううぅぅ…うげぇ」
「商人は何も食べて無いのに吐き気はあるんだね」
「血が足りないと回復魔法は効かないみた~い」
「薄めた食塩水を少しづつ輸血すると良かろう」
「吐き気は果物を少しかじると収まるぞ?」
「持ってくる!!」
「とにかく栄養だ」
「商人は体がすごいキャシャだね~」
「心臓に病気を持ってるんだ」
「え!?」
「血を抜くのは本当は命取りになる」
「じゃぁドラゴンの涙を」
「万病の薬だが…心臓あっての薬だ…商人には使えない」
「わたし達の血を少しずつ分けてあげれないかなぁ?」
「それもダメだ…商人の血は特殊な血らしい…できる事と言えば塩水を薄めて血の代わりにする位だ」
「祈るしかないね」
「わたしがお祈りしてあげる~」
一行は陸沿いに東へ…始まりの国の港町へ船を進めた
陸を見失わない様に航海すれば迷う事も無い…遠洋に出るより余程安全だ
「ドラゴンの涙にはそんな効果が…」商人は驚いた顔で言った
「ドラゴンは肉体が死んだ後もスカルドラゴンとして蘇る…それと同じだ」
「心はどうなる?」
「心はしばらくは肉体に残る…維持する為には新鮮な血が必要だ」
「それが吸血鬼の起源か…」
「俺はもう血を与えられなくなって随分たつ…正気を保つのが辛い…グガガ」
「新鮮な血は人間以外の物でも良いのかな?」
「ガガガガ…知らん…グガガ」…囚人は時折ゾンビの様に動きがおかしい
「新鮮な血か…」
しばらく後…
フラフラする商人に僧侶が駆け寄った
「どうしたの商人?顔色がわる~い」
「こ、これを囚人に持って行って」
「え!?誰か~~~助けて~~!!」
「ど、どうした?」騎士が飛び出した
「ぼ、僕の血を囚人に…」
「こんなに!!?僧侶!商人の介抱をお願い」
「うん…」
「おいおいどうした!!」
「商人が囚人の為に自分の血を抜いたみたいだ」
「なぬ!!馬鹿やろう!抜きすぎだ!薄めた塩水を飲ませろ!」
「僕は大丈夫だよ…囚人に血を早く…」
騎士は囚人の所へ生き血を持って行った
「ゴクゴクゴク…」一気に飲み干す
「き、気分は?」
「最悪だ」
「正気な様だね」
「自分が魔物になるのを感じる」
「不便な体だね」
「だが世界を救う為に私はまだ動ける」
「血はどのくらいの頻度で必要に?」
「1ヶ月か2ヶ月か…分からん」
「商人は自分の血を半分くらい抜いたみたいだ」
「クックックまだ千人分には程遠いな」
「商人が全部悪い訳では無いよ…」
「そんな事は分かっている…私も片棒を担いでいたのだから」
「あまり商人を攻めないで…」
「フフ…何年ぶりかの外の空気…呼吸をしていればさぞ美味いだろうな」
「ハハ…死人は言うことが違う」
「私がもしも正気を失ったら一思いに心臓を突いてくれ」
「わかった」
「人間のままでいたいんだ」
---あなたは多分まだ死なない---
船尾
そこでエルフの娘は海を眺めていた
「また黄昏ておるのか?」
「魔女様…」
「囚われたエルフの行く末が心配じゃのぅ」
「はい…私の姉たちも行方不明のまま…」
「エルフは肉体が滅んでも魂は再び新たな肉体を持って生まれるというが…」
「同じ肉体とは限りません…木々に生まれ変わったり…花になったり…」
「ふむ…この世界に再び生まれる事を望むか?」
「愛があれば又…」
「森で静かに生きる…それが答えかも知れんのぅ」
「私は精霊樹に生まれ変わりたい…そしてすべてを愛したい…」
「ほうか…天候が怪しゅうなってきたのぅ…雨に濡れん様にな?」
甲板
「お~い!帆をたたむのを手伝え!!」
「これかい!?」
「そうだ!!それを引っ張れ!!」
「フン!フン!フン!」
「ハハー良い運動になるなー!!」
「なかなかキツイねこれ…」ロープを手繰り寄せるのはかなりの重労働だ
「体を紐で縛っておけよ!!落ちん様にな!!」
「転覆する可能性は!?」
「無いとは言えんが最悪は気球で脱出する」
「みんな一箇所に集まった方が良いな」
「今日は気球の部屋の中でお泊りだハハー」
「今のうちにみんな呼んでくる」
「おう!呼んでこい!!」
気球の籠
「僧侶!商人の容態は?」
「まだ血が足りないみた~い」
「7人で気球の部屋は少し狭いのぅ…エルフの娘やこっちへおいで」
「にぎやかで良いじゃねぇか」
「みんなはぐれない様に体を紐で縛って」
「う、うううぅぅ…うげぇ」
「商人は何も食べて無いのに吐き気はあるんだね」
「血が足りないと回復魔法は効かないみた~い」
「薄めた食塩水を少しづつ輸血すると良かろう」
「吐き気は果物を少しかじると収まるぞ?」
「持ってくる!!」
「とにかく栄養だ」
「商人は体がすごいキャシャだね~」
「心臓に病気を持ってるんだ」
「え!?」
「血を抜くのは本当は命取りになる」
「じゃぁドラゴンの涙を」
「万病の薬だが…心臓あっての薬だ…商人には使えない」
「わたし達の血を少しずつ分けてあげれないかなぁ?」
「それもダメだ…商人の血は特殊な血らしい…できる事と言えば塩水を薄めて血の代わりにする位だ」
「祈るしかないね」
「わたしがお祈りしてあげる~」
更新日:2023-03-23 08:03:19