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6.終わりの国

終わりの国

この国は独特の文化がある

建造物の殆どは木造で竜の鱗を模した様な屋根瓦

そして複雑な紋様の装飾を施し他の国には類を見ない要塞都市を形成している


「お~い!見えてきたぞ~!」

「本当だ…あれ?でも様子が変じゃないか?」

「!!戦争…か?」…商人は慌てて望遠鏡を覗いた

「空に向かって何か撃ってる…すげぇ数だぞ?」

「城の上空にドラゴンかな?…何か飛んでる」

「魔王軍と戦争してるのは本当だったのか…」

「近づくのは危ないな…ここでしばらく様子を見よう」


「上空で回ってるドラゴンは1匹みたいだね」

「それにしても城から何を撃ってるんだ?」

「上空のドラゴンは攻めきれない様だね」

「対空砲火ってやつか?…にしてもすげぇ…どんだけ弾あるのよ?」

「陸の方はどうなってるんだろう」

「見えねぇな…もうすこし近づくか」


「対空砲火が止んだな」

「ドラゴンは退却したみたいだね…陸で戦闘は無かった感じ…かな?」

「どうする!?商人!」

「予定外だね…」

「入港できるんだろうか?」

「すこし様子を見てから入港してみよう」



船着場

ガコン!ギシギシ

船の船体が桟橋に当たった…

「よっし!!停船した」

「みんな船で待ってて。下船許可をもらってくる」

「なんかさ~さっきまでドラゴン来てたのにあんまり慌ててないね~」

「そうだね…なんか変な雰囲気だね」

「ううむ…なんか話が違うな…戦争慣れってやつか?」

盗賊は首を傾げながらロープを波戸場の杭に括り付けた

「エルフの娘!ちょっとおいで」…騎士はエルフの娘を手で拱く

「……」

「はい!これ金貨!これで好きな物を買うと良い。ここは銀製品が沢山あるらしいよ」ジャラリ

「わたしもちょ~~~~だ~~い」

「後であげるよ。エルフは銀を好むって聞いたことがあってね…魔女はエルフから離れないでね」

「わたしも銀製品ほしいほしいほしいほしいほしい~~」

「分かってるって」

商人は桟橋を走って戻って来た

「お~い許可が出たからみんな降りて良いよ」

「おう!」

「僕と盗賊は積荷を降ろして取引先に持っていくから4人は先に宿屋に行ってて」

「分かった…買い物しながら宿屋に行くよ」

「早くいこ~~う!!」…僧侶は走り出した



街道

石畳の続く街道…その両脇に風情のある建物が連なる

「ドラゴンのせいかな?人がまばらだ」

「でも露店はやってるみたい~ウフフ」

「遠くに行かないように買い物をして来て良いよ」

「わらわとエルフの娘も少し見てくるぞよ」

「うん。後をついていくよ」


住人が話す言葉が聞こえて来た


(もう何日目だ?毎回避難するのウンザリだよ)

(さすが王国の大砲はドラゴンも寄せ付けんな)

(でも不吉だねぇゾンビも出るし)

(地下墓地のゾンビが手に負えないらしいぞ)


へぇ…地下にゾンビも出るんだ…色々ありそうだなこの国は…

そう思いながら買い物ではしゃぐ僧侶の後を追った


「わたしこれに決めた~~♪銀のロザリオ~」

「エルフの娘や…気に入った物を買っても良いんじゃぞ?」

「……」エルフの娘は虚ろな目をしながら街道を眺めていた

「仕方無いのぅ…これ騎士や…エルフの娘に合う物を探すのじゃ」

「え?僕が?」

「私も探してあげる~ウフフ」

「困ったな…」

「ねぇねぇ~この銀の装飾の弓はどうかなぁ~」

「ほぅ…珍しい物を見つけたのぅ」

「でもちょっと高いカモ~」

「値段は気にしなくても良いよ‥あ…良いネックレスを見つけた」

「どれ~?」

「ほらこれさ…エルフの娘?着けて見て」

「……」そのネックレスを彼女の首に回す

「ほらピッタリだ!」

「良い買い物をしたのぅ」

「僧侶はもう買い物は終わったのかい?」

「まだああああああああ」

「フフもう少し見て行こうか」


エルフの娘に買った銀のネックレスは揺らすと小さな音が出る

銀同士がぶつかる澄んだ軽い音

彼女はすぐに気付いて胸元で鳴らしていた…

更新日:2023-03-20 07:57:32

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