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挿絵 180*240

商船3日目

「…という事だよ」

「じゃぁ今まで運んだ物を組み立てたとすると?」

「始まりの国は巨大な拘束具、終わりの国は大砲、機械の国は恐らくロボット」

「戦争の為…かな?魔王軍との」

「それが少し変なんだ…終わりの国は魔王軍と戦争中と言われているけど」

「けど?」

「それを見たという人が極端に少ない…というか居ない」

「勇者達が食い止めているとか?」

「その勇者達も帰ってきた人が居ない…おかしいと思わないかい?」

「確かに…」

「だから僕は本当はどうなのか知りたいんだ」

「魔王城に行けば分かる…か」

「でもその前に知りたいのがドラゴンの事だよ。確かにドラゴンは終わりの国へ送られてる」

「謎ばかりだね」

「同じ様に捕えられたエルフ達もどうなってるのかが分からない」

「エルフ達は始まりの国に送られてるんだっけ?」

「全部を把握してる訳じゃないけど…多分そうだと思う」


「ねぇねぇ!!船の下に何か居る~~!!」

「なぬ!?」

「え!?何だろう…」


「おいおいおいおいおい…くそデカイ影が下に居るぞ!!」

「クラーケン!!これはまずいかも…」

「俺ぁ気球の準備をしてくる!!」

「慌てんでもよい…エルフの娘が落ちついておる」

「海賊船は良くクラーケンに襲われてるって…もしかして…」

「船の下を行ったり来たりしてる~~」

「この船を襲う気は…無い…のか?」

「魔女の言う通り少し様子を見よう」


確かに…感覚の鋭いエルフの娘は落ち着いてる


「ふぅぅぅ去っていった…これはやっぱり…」…商人はブツブツ独り言を始めた

「あ~また始まった~ブツブツた~いむ!ウフフ」

「まぁ何も無くてよかったな…ヒヤッとしたぜ」

「エルフの娘すごいな…クラーケンの心も読めるのかい?」

「……」…ソッポを向いている

「エルフの娘だけでは無くクラーケンもエルフの心を読んでると思うがのぅ」

「そうか!!だから始まりの国は自国の船じゃなく海賊船で運搬しているんだ!!」

「商人!うるさいから向こうで考え事してくれ!」

「わ、わかった。すこし考えてくる」

「ハハ…なんかいつもの雰囲気だねアハハ」




「エルフの娘や…また黄昏ておるのか?…今日は満月が綺麗じゃのぅ」

「慈悲の祈りは心を癒す力じゃ。満月に祈るのもよかろう」

「祈りは魔法にも通じておる。そなたにも魔法の才はあるはずじゃ」

「まだエルフにしては若いじゃろうが、癒しの祈りくらいは出きるじゃろうて」

「主は心に傷を負ってしまったじゃろうが…主を心配し想う者も居るのじゃぞ?」

「主なら既に分かって居ると思うが…どうか心が癒えると良いのぅ」


心を洗ってくれるかのような波の音が

優しく船を包んで居た…

ザザー ザザー

更新日:2023-03-19 07:09:01

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