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謁見の間


「執政殿!勇者殿をお連れしました」

「国王様…観えた様です」

「うむ…通せ」

「勇者殿…国王様の面前へ…隊長は外で待て」

「ハッ!!」

正す間もなく国王が諫める

「よい…隊長も同席せよ」

「ハッ!!」

「さて勇者よ…近こう寄れ…」

「はい…」注目のまなざしを受けながら前へ進んだ

「よくぞ始まりの国へ参られた…勇者の所存は聞いておる…ゆっくり休んで行くが良い」

「はい…本日始まりの国王様に謁見に来たのには訳があります」

「ほう?申せ…」

「終わりの国の事でございます」

「やはりその事か…」周囲の空気が変わったのが分かった…

「旅の道中噂を聞きまして…かの国は魔王軍に3日で飲まれたとの事」

「ほう…3日とな?かような軍国がのぅ…」

顎に蓄えた髭を整えながら驚いた素振りは無い…

「終わりの国との国交が途絶えてもう長いが…飲まれたとはのぅ…」

「はい…魔王軍は軍力を増強しさらに伸びつつある様です…噂に過ぎませんが…」

「気になるので終わりの国へ出向こうと考えております」

「ふむ…それは良い考えだ」

「いよいよ勇者が旅立つという訳か…国を挙げて支援せねばならんなハハ…」

「出来る限りの支援は約束しよう…執政!良きに謀らえ…勇者の扱いは分かっておるな?」

「かしこまりました…」

その落ち着いたやり取りに何か不自然を感じた

「して…勇者よ」

「そなたが勇者に選ばれて2年だったか…成果を聞かせよ」

「はい…」

「辺境の村より選出されて最初の1年は武術の訓練をしておりました」

「師匠は退役した終わりの国衛兵隊長だと聞いています」

「訓練を終えた後、師匠は故郷へ帰ると申していました」

「その後の消息は聞いておりません」

「残りの1年は、武術の実践と仲間を探す為に放浪に出ておりますが…未だ仲間は得ておりませぬ」

「放浪の折に終わりの国の噂を聞きここに参った訳で御座います」

「ふむ…ではまだ成果は出て居らん様だな…まぁいたしかたない」

「隊長よ!」

「ハッ!!」

「確か近く武闘会があったな?」

「はい…明日に御座います…お忘れで?」

首を傾げながら返す言葉に少しトゲが有るのを感じた

「ふむ…そうだったか」

「勇者よ我が国の武闘会で腕を試してみてはどうか?」

「良き仲間が見つかるやもしれん」

空気が変わった…隊長の兜からわずかに見える口元に笑みが見えた

「隊長!勇者の世話人に任命する…武闘会にて成果を挙げさせよ…例の者を出しても構わん」

「執政!勇者に武器と金貨を与えよ…勇者には我が城での全行動を許可する」

「さて…後に魔王軍対策本会議を開く…執政は各官僚を招集し待て」

「勇者よ…後は隊長に従い武闘会で成果を出すのだ…期待しているぞ?フフフ…」

「いや…あ、あの…ありがとう御座います」

「武闘会にて名声を上げ、良き仲間を獲得するが良い」

「だが案ずるな…勇者に選任された実績からすれば武闘会は容易い筈じゃ」

「はぁ…」勇者は心の中でつぶやく…まいったな…

「では下がって良いぞ…」国王はその場を諫め勇者は謁見の間を後にした…

更新日:2023-03-17 08:53:24

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