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13.辺境の村

辺境の村周辺

盗賊は一人で旅をしていた

その時天候は悪く土砂降り…険しい山林では安全に雨を凌ぐ場所も乏しく

焚火で体を温めないと体力を著しく消耗してしまう


「あぁぁぁ腹減ったな…確かこの辺りの筈なんだが…」


雨に打たれて体力を消耗するのは連れている馬も同様だった


「どっか洞穴か何か無えかな…」

「おい!誰かくるぞ!」…木陰から声がする

「おいおい山賊のお出ましかぁ!?」

「どしゃぶりの中こんな田舎に来るのは誰だ!!」…現れたのは明らかに子供2人

「ようよう威勢が良いじゃねぇか!?辺境の村を探してるんだ…知ってるだろ?」

「村に何の用事だ!?」

「ほう…近い様だな?腹が減っている…案内してくれんか?」

「質問に答えてない!!」

「用心深いな?人を探してんのよ…悪さをするつもりは無い」

「こいつは兵隊じゃなさそうだ…どうする?」その子供達はヒソヒソ相談している様だが…

「まる聞こえだぞバ~カ」

「バカって言われたぞ!」

「だからまる聞こえだって~の」

「多分兵隊じゃない…連れて行こう」


盗賊はその子供達の後を付いて行った



辺境の村

人里離れた山奥にその村はある

盗賊が村に入るなり目に付いたのはボロ着を着た子供達がそこら中で倒れている事だった


「な、なんだこりゃ…病人ばっかりじゃねぇか」

「病気が流行ってるんだ…早く村を出た方が良いよ」

「病気?お前達は無事なのか?」

「多分僕達も病気に掛かってる…症状が軽いだけだよ」

「なんでそんな事になってんのよ…」

「だいぶん前にどこかの兵隊達が得たいの知れない魔物を連れて来てその魔物が病気の元になってるんだと思う」

「そんならさっさと倒せば良いだろ」

「倒したよ…でも病気が蔓延したんだ」

「その兵隊達はどこからやってくる?」

「わからない…薬だといって謎の液体を置いていく」

「俺は兵隊達が病気を持ち込んでると思ってる…もう村に入れる気は無い」…もう一人の子供が声を荒らげた

「なぜ兵隊が犯人だと思う?」

「病人の血液を採取して持っていく…絶対何かの実験だ」

「……」…盗賊は言葉を失った


こりゃどっかの王国が細菌兵器の研究やってんな…

人体実験を強行して居やがる…クソったれが!


「ところでこの村には宿屋は無いよ?」

「まいったな…腹が減ってしょうがな無え」

「その…病気が流行ってから働き手が居なくなっちゃって…」

「お前らが収穫すれば良いだろう!…ってお前ら子供か」

「子供じゃない!!今は村を守る戦士だ」

「話の出来る大人は居ないのか?」

「大人はみんな薬を飲まないで…寝てる」

「死んだのか?」

「……」2人はうつ向いている

「よし!俺について来い!あと元気な奴を集めて来い!」



掘っ立て小屋

盗賊は有り合わせの材料で食事を作った


「よ~し!並べぇ!!ご馳走だぞ!!」

「おおおおおぉぉぉ久しぶりのご馳走だ!!」


うめぇ!!

待てよ!小さい子から順番だ

どうやって作るんだ?

見て見て!よく勉強して!


「よ~し!これで全員か?30人ぐらいか…」(おかしいな…騎士らしいのが居ない)

「これで全員なんか?」

「お兄ちゃんが具合悪くて寝てるよ」

「そのお兄ちゃんはどうしたんだ?」

「魔物と闘って怪我をしたんだ…それ以来具合が悪いって」

「どこに居る?」

「村の教会で横になってる」

「呼んで来い!…俺が手当てしてやる」

「でも歩けないみたい…」

「そうか…おい!お前ら!!ご馳走残したらタダじゃ済まんからなぁ!!」

「おおおおぉぉぉ全部食うぞぉぉぉ!!」

「おい少年!教会に案内しろ!」



一人の少年に案内され教会に向かう



更新日:2023-03-23 08:12:25

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