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世界のかけら
『…処で、こんなにカオスな状況じゃあ授業はお終いだね』
「えっ…うん、そうなのかも…。」
突然のアスタロトの言葉に、戸惑いながらも返事をする。
『契約終了』
「…えっ⁉︎」
『契約不履行だよ。…これじゃあ続けられない』
そう言えば、ここで一番最初にアスタロトを喚びだした時に、そんな事を決めた様な気がする。
つい最近の事の筈なのに、あの時はとっても楽しい…平和な時間で、何だか遠い日の出来事の様だった。
「アスタロトっ、ちょっと待って…!」
『無理。契約上の取り決めだから、勝手に執行される。…あんたの力を借りるよ』
アスタロトの主張は正しいのかも知れないけど、あまりにも突然過ぎる事だった。
急にアスタロトとの繋がりが無くなってしまうのは凄く寂しいし、今は何だか大変な時だから、少し待って欲しいって思った。
『待てない。最初に取り決めしたろ? 予期せぬ形で…っての』
アスタロトは、私の考えを読んだらしい。
『悪い様にはしない』
そう伝えて来るアスタロトは、いつに無く真剣そうだった。
「…分かった。」
そう言うと、真っ白い綺麗な光と共にアスタロトが現れた。
「だから、悪魔を簡単に信じるなっての。」
現れたアスタロトは苦笑いをしていたので、何か間違った事をしてしまったのかと、慌ててホルを見上げた。
するとホルは全てを分かっているかの様な眼差しで、穏やかに微笑み、軽く頷いた。
「あの兄さんが救おうとしたのは、此処の奴らなんかじゃ無い、あのチビ共さ。…旦那は気付いてるんだろう?」
アスタロトは批判するかの様に、ホルをねめつけた。
ホルは理解しているらしく、眉を顰めて、幾らか困っていた。
「コノちゃんの事っ⁉︎…ホルっ、コノちゃん達を救うって、どういう意味っ?」
「………だから、名前を与えたく無かったんだ。」
ホルは溜息を付いて、困り顔で微笑んだ。
『我々も、そいつは困る』
閉じた筈だった木陰の所の亀裂が再び生じ、そこから小さな光が沢山現れた。
『我々は、個を与えられた』
『既に単なる一部じゃ無い』
沢山の粒の光が溢れ出し…そしてそれと一緒にアイリスが現れた。
「アイリスっ!」
アイリスは私を見つめ、そしてアスタロトに目を向けた。
アイリスは黙ったままで、アスタロトを見詰め続けている。
アスタロトはそれに気付いている筈なのに、アイリスの方を見ようとはしなかった。
小さな光達が、いつものコノちゃん達の姿に変わる。
「さて……じゃあ、力を借りるよ。」
そう言って、アスタロトは宙に舞い上がって行く。
そして、ほんの一瞬振り返って、アスタロトはアイリスと目を合わせた。
それはほんの少しの時間だったけど、アスタロトは何故か少しだけ寂しそうに…でも愛おしそうにも笑っていた。
「えっ…うん、そうなのかも…。」
突然のアスタロトの言葉に、戸惑いながらも返事をする。
『契約終了』
「…えっ⁉︎」
『契約不履行だよ。…これじゃあ続けられない』
そう言えば、ここで一番最初にアスタロトを喚びだした時に、そんな事を決めた様な気がする。
つい最近の事の筈なのに、あの時はとっても楽しい…平和な時間で、何だか遠い日の出来事の様だった。
「アスタロトっ、ちょっと待って…!」
『無理。契約上の取り決めだから、勝手に執行される。…あんたの力を借りるよ』
アスタロトの主張は正しいのかも知れないけど、あまりにも突然過ぎる事だった。
急にアスタロトとの繋がりが無くなってしまうのは凄く寂しいし、今は何だか大変な時だから、少し待って欲しいって思った。
『待てない。最初に取り決めしたろ? 予期せぬ形で…っての』
アスタロトは、私の考えを読んだらしい。
『悪い様にはしない』
そう伝えて来るアスタロトは、いつに無く真剣そうだった。
「…分かった。」
そう言うと、真っ白い綺麗な光と共にアスタロトが現れた。
「だから、悪魔を簡単に信じるなっての。」
現れたアスタロトは苦笑いをしていたので、何か間違った事をしてしまったのかと、慌ててホルを見上げた。
するとホルは全てを分かっているかの様な眼差しで、穏やかに微笑み、軽く頷いた。
「あの兄さんが救おうとしたのは、此処の奴らなんかじゃ無い、あのチビ共さ。…旦那は気付いてるんだろう?」
アスタロトは批判するかの様に、ホルをねめつけた。
ホルは理解しているらしく、眉を顰めて、幾らか困っていた。
「コノちゃんの事っ⁉︎…ホルっ、コノちゃん達を救うって、どういう意味っ?」
「………だから、名前を与えたく無かったんだ。」
ホルは溜息を付いて、困り顔で微笑んだ。
『我々も、そいつは困る』
閉じた筈だった木陰の所の亀裂が再び生じ、そこから小さな光が沢山現れた。
『我々は、個を与えられた』
『既に単なる一部じゃ無い』
沢山の粒の光が溢れ出し…そしてそれと一緒にアイリスが現れた。
「アイリスっ!」
アイリスは私を見つめ、そしてアスタロトに目を向けた。
アイリスは黙ったままで、アスタロトを見詰め続けている。
アスタロトはそれに気付いている筈なのに、アイリスの方を見ようとはしなかった。
小さな光達が、いつものコノちゃん達の姿に変わる。
「さて……じゃあ、力を借りるよ。」
そう言って、アスタロトは宙に舞い上がって行く。
そして、ほんの一瞬振り返って、アスタロトはアイリスと目を合わせた。
それはほんの少しの時間だったけど、アスタロトは何故か少しだけ寂しそうに…でも愛おしそうにも笑っていた。
更新日:2023-05-02 21:11:57