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いつもの教室に入り、席に向かう。
先生は今日は未だ来ていないけれど、お友達とは別々に座る教室にだったので、私は一番後ろの席に座った。
暫くすると、周りの皆んなが騒つき始めた。
楽しくおしゃべりしているんじゃ無くて、どうやら少し困っているようだった。
次第にそれは教室中の皆んなに広まって行き、何だか混乱めいてきた。
「もう…これ以上ここに居るのは無理だ!」
「先生は何処に…。」
「外だ!…外に行こう!」
皆んなが何だか怖い顔をしながら、席を立ち、固まり始めた。
「先生が外に居るんじゃ、そっちが正解なんじゃないの?」
「…試されてるって事か?」
「これを感じ取って、逃げろって?」
「それか、耐えられるかどうかを試されてるんじゃ…。」
「試すって…ここまでの事をするものなの…?」
最後の言葉を聞いた皆んなの動きが、一斉に止まった。
「…これは……世界そのものが…?」
「世界の意思…?」
「そんな…! どうして…!」
一人の生徒が、走って廊下へ向かう。
「何れにせよ…限界だ!」
「そうね…もうそれほど耐えられそうにない。」
ピンク色の髪の毛のお友達がそう言うと同時に、何人かの生徒が教室から出て行った。
「ほら! あなたも来るのよ!」
お友達が、誰かに手を引かれている。
「ちょっと待って、あの子が…!」
「あの子…? あぁ…。」
何人かの生徒が、私の方を見た。
「平気よ。世界の意思に逆らえる人なんて、何処にも存在しない。」
「あの方々の妹だとしても…この強烈な意思には従うしかないよ。」
お友達はそれでも立ち止まっているけれど、直ぐに何か怖い物に怯えるかの様な仕草をして、廊下に向かった。
「ねぇ、ちゃんと皆んなの後に続くのよ!」
お友達が焦った顔で、私に向かって叫んでいる。
返事をしようと思ったものの、お友達は走り去ってしまっていた。
そして直ぐに、教室からは誰も居なくなってしまった。
『ここヤバいよ。…今直ぐ出た方が良い』
皆んなが言うほどの危険な感じは、私には良く分からないけれど、アスタロトまでが言うんだから、この教室からは出た方が良いんだと思った。
「教室では、いつも待ってなきゃいけないから……でも、出て行った方が良いのかなっ⁉︎」
そう言ってアスタロトの本を手にして立ち上がると、目の前にホルが現れた。
「ホルっ!」
「行こう。」
そう言って、ホルが私の手を引いて、足早に廊下へ向かう。
それはいつもの優しい感じじゃなくって、何だか怒ってるようだけれど、多分急いでいるんだろう。
「ごめんねっ⁉︎ 私…。」
「気にしなくて良い。」
一瞬だけホルが振り返って、優しく笑う。
いつものホルの笑顔に安心して、繋いだホルの手を握り返し、小走りで後をついて行った。

更新日:2023-05-01 21:15:51

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