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闇
お友達と落ち合ってから、並木道を歩いて行く。
「今日は…こっちみたい。」
校舎の中に入らないで、お友達はそのまま外の道を進んだ。
「お外でやる事もあるんだねっ⁉︎」
「そうみたいね。」
そう言って、お友達は優しく笑った。
お友達がいなかったら、私は校舎の中をずっとうろうろとしてたんだと思う。
今日の授業は何をするんだろうね、と二人で話をしていたら、皆んなが集まっている場所にたどり着いた。
皆んなは芝生の上に直接座っていて、並び順からすると、一番初めの教室での席と同じ所へ座るらしかった。
お友達に手を振って別れ、一番後ろ側に座り込んだ。
暫くそのまま待っていると、学園長が皆んなの前にやって来た。
「揃った様ですから始めます。」
そう言うと同時に、何となく…周りの景色が固まったように感じられた。
辺りは明るい筈なのに、何故か暗くなったようにも思う。
「あなた方が居る範囲内だけ、隔離されています。」
学園長が少し違う所を見ると、そこにいた先生達が、私達の周りに散らばった。
先生は何人かいて、今日はたくさんの先生達とお勉強をするようだった。
「本日から、ご自分が何であるのかを思い出す授業を行います。あなた方が分かっているよりも、原初のルーツをです。」
学園長は皆んなを見渡し、最後に少し私をじっと見てから、お話を続けた。
「十分理解されている方もいるでしょうが、更に深く自分自身へ潜って頂きます。そこではあなたの闇と出会うかも知れません。…その為、本日は多数の教師がおります。危険と判断したら中断させ、引き戻しを行いますが、それはあなた方の資質に問題が在る訳では無いです。」
自分の中の闇と聞いて、よく分からないものの、少しだけ不安になった。
『あんたが不安になる様な事じゃ無いよ。』
頭の中に、茶化すかの様なアスタロトの声が響いた。
『あんたは本来全てを分かってる存在なんだからさ、もっと堂々としてなよ。』
アイリスがここにいたら、きっとアスタロトと似たような事を言うんだろうなと思って、少し気持ちが落ち着いて来た。
『分かり難く言ってるけどさぁ…ティファンがテュファンだった時の事を思い出せとか、そんな感じなんだよ。』
うっかり口に出してアスタロトに応えそうになり、慌てて心の中で『それだけで良いの?』と思う。
『ここの奴らのやってる事なんて、そんなレベルなんだぜ?…って言うか、それ以前の問題だな。』
アスタロトの、呆れた様な口調が響いてくる。
『あんたが「あんた」のままで居て欲しいから誰も何も言わないんだろうけど、私は悪魔だからね。…それにあんたは、こんな程度じゃ堕ちないよ。悪魔が保証する。』
悪戯っぽいアスタロトの笑い声は、ちっとも悪魔っぽくは無かった。
『とにかく、あんたは此処の奴らより、相当格上ってこと。…あの教師共よりもね。つまり、あの教師らはお呼びじゃ無いって事さ。』
このアスタロトの言い方は、アイリスの少し怒ってる時の言い方に似てる。
アスタロトとアイリスは見た目も少し似ているし、姉妹って言われても私は信じてしまうと思う。
…そしたらアスタロトは、私とも姉妹になるねっ!
『姉妹でも親子でも、叔母姪でも別に何でも良いけどさぁ。』
呆れた様なアスタロトの言い方に、私の考えている事が全部伝わっているんだって事に気が付き『聞いてない訳じゃないからねっ!』と慌てて思った。
『まぁ、どっちでも良いけど。…教師共は、あんたの兄さん達にビビってたろ?…当然だ、格が違う。そんであんたは兄さんら側のレベルだって事なんだよ。』
格が…とか今まで考えた事の無かった言葉だったけど、アスタロトが真面目そうに言ったその言葉は、何だか妙に頭に残った。
「今日は…こっちみたい。」
校舎の中に入らないで、お友達はそのまま外の道を進んだ。
「お外でやる事もあるんだねっ⁉︎」
「そうみたいね。」
そう言って、お友達は優しく笑った。
お友達がいなかったら、私は校舎の中をずっとうろうろとしてたんだと思う。
今日の授業は何をするんだろうね、と二人で話をしていたら、皆んなが集まっている場所にたどり着いた。
皆んなは芝生の上に直接座っていて、並び順からすると、一番初めの教室での席と同じ所へ座るらしかった。
お友達に手を振って別れ、一番後ろ側に座り込んだ。
暫くそのまま待っていると、学園長が皆んなの前にやって来た。
「揃った様ですから始めます。」
そう言うと同時に、何となく…周りの景色が固まったように感じられた。
辺りは明るい筈なのに、何故か暗くなったようにも思う。
「あなた方が居る範囲内だけ、隔離されています。」
学園長が少し違う所を見ると、そこにいた先生達が、私達の周りに散らばった。
先生は何人かいて、今日はたくさんの先生達とお勉強をするようだった。
「本日から、ご自分が何であるのかを思い出す授業を行います。あなた方が分かっているよりも、原初のルーツをです。」
学園長は皆んなを見渡し、最後に少し私をじっと見てから、お話を続けた。
「十分理解されている方もいるでしょうが、更に深く自分自身へ潜って頂きます。そこではあなたの闇と出会うかも知れません。…その為、本日は多数の教師がおります。危険と判断したら中断させ、引き戻しを行いますが、それはあなた方の資質に問題が在る訳では無いです。」
自分の中の闇と聞いて、よく分からないものの、少しだけ不安になった。
『あんたが不安になる様な事じゃ無いよ。』
頭の中に、茶化すかの様なアスタロトの声が響いた。
『あんたは本来全てを分かってる存在なんだからさ、もっと堂々としてなよ。』
アイリスがここにいたら、きっとアスタロトと似たような事を言うんだろうなと思って、少し気持ちが落ち着いて来た。
『分かり難く言ってるけどさぁ…ティファンがテュファンだった時の事を思い出せとか、そんな感じなんだよ。』
うっかり口に出してアスタロトに応えそうになり、慌てて心の中で『それだけで良いの?』と思う。
『ここの奴らのやってる事なんて、そんなレベルなんだぜ?…って言うか、それ以前の問題だな。』
アスタロトの、呆れた様な口調が響いてくる。
『あんたが「あんた」のままで居て欲しいから誰も何も言わないんだろうけど、私は悪魔だからね。…それにあんたは、こんな程度じゃ堕ちないよ。悪魔が保証する。』
悪戯っぽいアスタロトの笑い声は、ちっとも悪魔っぽくは無かった。
『とにかく、あんたは此処の奴らより、相当格上ってこと。…あの教師共よりもね。つまり、あの教師らはお呼びじゃ無いって事さ。』
このアスタロトの言い方は、アイリスの少し怒ってる時の言い方に似てる。
アスタロトとアイリスは見た目も少し似ているし、姉妹って言われても私は信じてしまうと思う。
…そしたらアスタロトは、私とも姉妹になるねっ!
『姉妹でも親子でも、叔母姪でも別に何でも良いけどさぁ。』
呆れた様なアスタロトの言い方に、私の考えている事が全部伝わっているんだって事に気が付き『聞いてない訳じゃないからねっ!』と慌てて思った。
『まぁ、どっちでも良いけど。…教師共は、あんたの兄さん達にビビってたろ?…当然だ、格が違う。そんであんたは兄さんら側のレベルだって事なんだよ。』
格が…とか今まで考えた事の無かった言葉だったけど、アスタロトが真面目そうに言ったその言葉は、何だか妙に頭に残った。
更新日:2023-04-29 19:54:43