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学園長は私をじっと見つめてから、軽く頷いた。
「ご自分が水だと感じたのなら、先ずは水を極めてみるのも良いでしょう。」
そう言って手を翳すと、机の上にあった水晶玉が消えて、代わりに水瓶が現れた。
「例えそれが違っていたとしても、そこから自分自身が見えて来る事になります。…水瓶に手を翳して下さい。」
言われた通りに、水瓶に手を翳してみた。
すると、何となく…水が少し動いた気がした。
今のは何だったんだろうと思っていると、お友達の周りを包んでいた光が弱まって、お友達が目を開けた。
「……少し休憩。」
お友達が、気恥ずかしそうに笑う。
「うんっ! お疲れ様っ!」
「…水瓶?」
「うんっ! えっと…水にね、私ご縁があるかもって思って。そしたら、これ出して貰えたの。」
「そうね、あなた火よりは水の印象があるかも。」
火はアイリスだし、リュークは風だって聞いた。
何だか皆んなの仲間になれた気がして、とっても嬉しくなった。
「でも、まだ良く分からなくって。」
そう言いながら、水瓶に手を翳す。
すると、やっぱり水の表面が少し動いた気がした。
「今…動いたっ?」
「そうね、私もそう見えた。」
手を動かすと、また水が少し動いた。
「水が、ついて来てる…?」
「確かに水は反応してる…けど…。」
お友達は少し考えてくれている様だった。
「これ、水が反応してるって言うより…例えば引力とか…何か別の力かも知れない。」
「…引力で、何か感じるものは有りますか?」
学園長が私達を交互に見遣った。
「引力と言えば………月、よね。」
お友達が呟く様に言った。
…月って聞いて思い出したのは、私がティファンだった頃、アイリスと一緒に見た月の事だった。
アイリスが親族のお爺さんに何かを言われてしまって、お食事中なのに、お部屋を飛び出してしまった事があった。
あの時、私はアイリスを追いかけて…一緒に月を眺めたんだった。
お腹すいたね、って話もした気がする。
確かアイリスは私が太陽みたいだって、そして自分は月なんだって言っていた。
淡く光る夜空の月は綺麗だけど、昼間の太陽よりは光が弱い。
アイリスは何でも出来て、とっても綺麗なお姫様なのに、なんで月で…なんで太陽は私の方なのかなって思ってた。
月が太陽の光で輝くみたいに、アイリスに応援してもらって今の私がある。
「私……お月様と関係あるのかなっ⁉︎」
「学びは始まったばかりです。これから、気付きはより深まって行くでしょう。」
そう言って、学園長は頷いた。

更新日:2023-04-26 23:06:15

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