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仲間との再会

解散後、パドラスは一人で窓から外の景色を眺めていた。
もう自分の故郷の地球はとっくに見えなくなっていて、周りは星だらけだった。
ほんのさっきまで、パドラスはピロンと一緒にいたのに、急に別れがやってきて、ピロンはいなくなってしまった。
そのことを考えるとやたらと悲しくなった。
今までも家族や友人との別れはたくさん経験してきたけれど、こんなに急な予期せぬ別れは、本当につらいものだった。
今ピロンは何をしているだろうか?
自分がいなくても、ちゃんと家に帰ることができるだろうか?
パドラスは、別れ際にピロンが首にかけてくれた、ネックレスにぶら下がったガーネットをつまみあげて、思いを馳せた。

そこへ緑の星のカぺルが近づいてきた。

“パドラス、久しぶりだね”
“あれ、僕たちどこかで会ったことがあるの?”
“あるよ、何度もね。
最後に会ったのは地球でだよ”
“ごめん、僕ちっとも覚えていないよ。
かなり地球ボケがひどいからね”
“仕方ないさ。
君は地球に長くいたからね。
でもそのうちに思い出すよ”

それからカぺルは奇妙なことを言った。
“そうそう、さっき君と一緒に来た女の子ね、あれピロンだろ?”
“うんそうだよ、君はピロンのことも知っているの?”
“2027年の地球に僕もいたんだよ。
そこで君とピロンに会ったんだ。
その時のピロンはもっと大人になっていたけれど、さっきの女の子がピロンだってことはすぐに解ったよ。
でもそれは言わなかった。
言っても混乱させるばかりだし、言う必要はなかったからね”

“ということは、君はもしかしてジャック?”
“そう、ご名答”
カぺルはウィンクをした。
“へー、あの時と全く違う顔だから気が付かなかったよ。
もうすっかり元気になったんだね。
会えて嬉しいよ”
パドラスは知らない人たちの中で、古い知人に会えて、ほっとした。

“あの時、僕は若くして死んでしまって、すぐに故郷のキャステンに帰ったんだ。
君はそのあともずっと地球に残ったんだね”
“そう、不死身の体になってしまったからね。
初めのうちは誰かにそうさせられてしまったんだと思っていたのだけれど、そうではなくて自分で選んだんだってことが解ったんだよ。
僕は好奇心が強いから、その後地球がどうなるかを見届けないわけにはいかなかったんだ。
それに、負けたままで逃げるのは嫌だったからね”

“それで君はちゃんと地球を立て直したんだね。
すごいじゃないか”
“僕が地球を立て直したなんて思ってもいないよ。
そりゃあ前に比べたら本当に良い星になったけれどね”

“君はピロンと離れたことを悲しがっているんだね”
“うん、あまりに急な別れだったから。。。また会えるかな。。。”
“きっと会えるさ、僕たち星人間は、場所と時間を超えて、いろいろなところで出会っているんだからね。
ピロンも星人間なら、きっとシュールが出来上がったころにやってくるかもしれない、ちゃっかりね”
カぺルはまたウィンクをした。
どうやら彼の癖のようだった。
”うん、きっとそうだ。
勇気づけられたよジャック、じゃなかったカぺル、ありがとう”

遠い昔、二人は、何度も自由のために戦った同志であったのだ。

更新日:2023-03-09 20:41:15

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