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第5章・・・【サイコロ星のハーミット】

“あれ~、なんだろう?あんなのは初めて見るなあ”
いつものようにパドラスが窓から外を眺めていると、大小さまざまの星が浮かぶ中に、小さな光が点いたり消えたりしているのが目に留まった。

“ねえサイラ、あそこに小さな光が点滅しているんだけれど、一体何があるの?”
“えっ、どれどれ?スクリーンには何も奇怪な物は写っていないけれど”
サイラはパドラスの窓辺にやってきて外の光に目を留めると、スクリーンと照らし合わせてみた。

“あれは、おひとりさまの星だわ”
“おひとりさまの星?なにそれ”
“住人が一人だけという星もあるのよ。
宇宙図によるとあれは「サイコロ星」だわ。
どういう星かカペルに聞いてみましょう”

“「サイコロ星」に関するデーターはほとんどないね。
ただ「ピュアブルー銀河のおひとりさま星の一つ」っていうことだけだ”

“気になるなあ。誰か困っているんじゃないかな?”

そこへセムがやってきた。
“何か面白いことはないかい?パドラス。
調査と研究で頭が疲れてしまったよ”
“じゃあ僕と一緒においでよ。
あの小さな星を調べていいか、隊長から許可をもらおうと思っているんだよ”

テイランはパドラスに許可をして、セムの他にもヴィーナを連れて行くようにと言った。
だれか病人や怪我人がいるかもしれないからだ。

“シューティングスター号は、誰が操縦する?”
ヴィーナはパドラスに向かって煽るように言った。
パドラスが操縦できるかどうか試すのに、よい機会だと思ったからだ。
“僕がするよ。
心配しないで、もうちゃんと操縦の仕方を思いだしたからね”

パドラスの操縦でセムとヴィーナを乗せたシューティングスター号は、小さなサイコロ星へと近づいていった。
海があり山があり谷があり川があり、やがて小さな小屋が見えてきた。
“あの小屋からチカチカと光が出ているんだ。
あれ、誰かが屋根に座っているぞ”
シューティングスター号は小屋の上に浮いたまま、三人は屋根の上にフワッと飛び降りた。

“やあ、こんにちは。
君が懐中電灯を付けたり消したりしていたんだね”
それはまだ小さな子供だった。
その子は何か怒られるのではないかと、びくびくしているようだった。

“心配しなくていいのよ。
私たちはあなたが何か困ってシグナルを出しているのではないかと思って来てみたのよ”
“僕はパドラス、それからヴィーナとセム。君は?”
“僕はメティ”
メティはそれしか言わなかった。
どうやら宇宙人には慣れていないようだった。

“いい懐中電灯だね。
ずいぶん遠くまで光が届いているよ”
とセムが言うと、メティは懐中電灯を差し出して、ちょっと得意そうに言った。

“これはおじさんが作ったんだ。
宇宙一明るい懐中電灯だから遠くの星まで届くんだよ”
“おじさんはどこにいるの?
会わせてもらえないかな?”
“だめだよ。おじさんは忙しいんだ。
誰にも邪魔されたくないんだよ”

そこに仔犬がどこからか走ってきて、わんわんと屋根の上のパドラスたちに向かって吠えた。
“あっ、トフィー、あれが僕のトフィーだよ。
今降りるから待っててね”
メティは屋根にかけてある梯子から降りようとしたのだが、パドラスが止めた。

“僕たちと一緒に屋根から飛び降りないか?
僕とセムが手を繋いでいてあげるから大丈夫だよ”
メティはにっこりとうなずいた。
そこでメティはパドラスとセムの真ん中にぶら下がりながらふんわりと地面に降りたので大喜びだった。
仔犬のトフィーは新しい友達が来たのが嬉しくて、そこらじゅうを駆け回った。

更新日:2023-05-08 08:56:10

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