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テイランの神様ストーリー

“むかし私はね、「神様」を教えるグループに所属していたんだ。
その時の話をみんなに聞いてもらいたいと思ってね、それで今日は集まってもらった”

“おう、待ってました。
隊長の神様ストーリー、聞きたかったんだ”

“パドラス、君は特に興味があるだろうね、地球の話だからね。
宇宙本部の教育委員会は、地球人に神の存在を教えなければならない時が来たと判断したんだ。
プロジェクトのメンバーが選ばれて、その中に私も入れられた。
その理由なんだが、実は私は役者だったから、一番神様らしい演技をできる人ということで選ばれたんだ”

みんなびっくりして顔を見合わせた。

“そんなに驚かないでくれよ。
私は地球で言うならアカデミー賞のような主演男優賞を取ったこともあるんだぞ。
いつかトロフィーを見せてやるよ”

その瞬間、テイランがトロフィーを掲げて、スポットライトを浴びている姿が、パドラスの脳裏に浮かんだ。

“全く神なんてことは知らない者たちに、はっきり目で見える形で“我は神なり~”と言って現れない限り、絶対に解ってはもらえないだろうというので、誰かが神になる必要があったのだよ”

“隊長のそのいで立ちなら、絶対に誰もが本当の神さまだと思ったにちがいありませんよ”

“そうだろう?
衣装係やメイクさんたちが頑張ってくれたからね。
でも見かけだけじゃないんだよ。
神といえば必ず持ち合わせていなければならない技術があるんだ。なんだかわかるかな?”

“わかった、奇跡を起こすことでしょう?”
サイラが得意顔で言った。

“正解、そうなんだ。
私は川の水を引かせて人が通れる大きな道を作ったり、天から魚を降らせたり、何もない所に火を起こさせたり、ずいぶん巧妙なマジックを使ったものさ。
その結果、自分たちにはできないことができる「神」が、実際にいるということを知って、人々はなんでも私の言うことを聞くようになったんだ。

まあそこまでは良かったんだけれどね、そのうちに大きな神殿を作って、私の銅像を飾って拝みだした。
しかも自分の欲を満たすためにお金が儲かるようにとか、綺麗な嫁を娶りたいだとか、悪事をしておきながら病気を治してくれとか、全く、その自分勝手さにはあきれてしまった。
最後は全てを壊して、天に帰ってくるしかなかったよ”

“それで、その神の名前は言い伝えられて、今でも残っているというわけですね”

“悪いのはそれだけじゃない。
勝手に自分たちで、私の言ったことを都合よく捻じ曲げた経典を作って、世界に出回ってしまった。
その後人々は神を大きく誤解して、いろいろな宗教ができたよ。
偽物の神を崇める宗教ができるたびに、私は何度も地球に生まれて、間違いを正そうとした。
だがまた人々は私を神と勘違いして、新しい宗教を作ってしまうということの繰り返しだった”

テイランはいまだに後悔しているようだった。

“宗教が流行らなくなると、今度はスピリチュアル・ブームが起きてね、多くの人がスピリチュアルという言葉を使い始め、霊や過去生や生まれ変わりや運命などについて、日常で語るようになった。
それまでにない一つの気づきが起こったわけで、人間の意識の成長ではあるのだが、ほとんどの人はほんの浅い部分でしか理解できなくて、面白半分の領域を出ることもなく、何もかも一緒くたにしてしまったのだ”

“それではそのプロジェクトは失敗だったってことですか?”
まじめなセムがボソッとつぶやいた。

“いや、そうとは言わないよ。
すべて人間の進歩の過程だからね。
いくら私たちがこうなって欲しいと願っても、人間たちが自分で学んで、道を選択していかなければならない。
私たちはそのきっかけを作ったんだ。
それに、本当のスピリチュアリティ-を心に受け止めて魂に刻み込み、間違いない道を歩いている人間もどんどん増えてきている。
忍耐が肝心なんだよ。”

“だから、無駄なことは一つとしてないというわけですね”

“そうだよ、セム、どこかの偉人が言っていたよね。
「大事なのは目的地に着くことではなくて、そこへたどり着くまでの旅路である」って。
あれ、それは私の言葉だったかな?”

みんな納得して頷いた。

きっと新しい星では、その経験を生かして、全く違ったアイデアの「神」が現れることだろう。

更新日:2023-03-22 12:59:41

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