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紫の星スフィア

ヴィーナが生まれた星は、ピュアブルー銀河のスフィアだった。
6次元の星で、その色から「紫の星」と呼ばれている。
下の次元から見ると、中心の濃い紫が地表になるにつれ薄くなり、繊細な紫のグレードを見せている美しい星だ。
だが6次元から見ると、薄紫の空間に、星のすべての生き物たちのエネルギーが揺らめいているのだ。
様々な色のエネルギーが混ざり合って、夜空に虹色の光を放つため、ピュアブルー銀河で一番美しい星として褒めたたえられている。

だが、スフィアは初めから6次元の星ではなかった。
昔は5次元に存在し、地球とあまり変わらなく人々は暮らしていた。
次元が地球よりは上なので、天候も荒れることなく、誰もがお互いを思いやり、動物たちも争うことなく、愛に満ちた調和の星だった。

それを面白くなく思うものがいた。
闇の魔王ジャンキーだった。
ジャンキーは、全ての星を自分が支配することに憧れているのだ。

“最初はザルファ人のような手下を使って、私たち一人一人に憑りついて支配しようとしたのですが、私たちは全体に調和していたものですから、誰もその手には乗りませんでした。
でもジャンキーは諦めることなく、次の手を使ってきました。
空から大きな絵筆で、私たちの星を黒く塗りつぶしていったのです。
木も花も黒くなり、川も湖も黒い水が流れ、私たち人間も皆黒い服しか着れなくなってしまったのです”

“えっ、そんなことになったらひどく気が滅入ってしまうよ。
とても生きてゆく気がなくなっちゃうよ”
“その通りです。
黒は他の色を吸収して一層暗くなるばかりでした。
私たちはどうすることもできずに、悲しみに沈んで暮らしてゆくしかなかったのです”
“そんなことが。。。でもそこから抜け出ることができたんでしょう?
だからあなたは今こうして生きているんですよね”
世界が真っ黒になってしまうところを想像したパドラスは、あまりの恐ろしさに、その先の明るい展開を聞かずにはいられなかった。

“私たちは一心に祈りました。
一人残らずが心から祈ったのです。
そしてその祈りは神に届き、聞き入られました”
“ああよかった”とパドラスは胸をなでおろした。

ある日、真っ暗闇の中に空から一筋の光が射してきた。
その光が地上に届くと、光のステップを大きな白い羽の天使が降りてきたのだ。

“あなた方の祈りは聞き入れられた。
神は光の雨を降らせて黒い絵の具をすっかり洗い流してくれるだろう。
その時、光はあなた方に降りかかり、あなた方の中に留まる。
あなたがた全員が光によって癒され、ピュアになり、一段上の世界に昇るのだ。
祝福された調和の民よ、これからも永遠の調和を目指し生きるがよい”

“するとピカピカキラキラした光の束が、シャワーのように降ってきて、見るまに木々や動物や花たちについた黒い色を洗い流してゆきました。
私たちもすっかり洗われてピカピカと輝きが出てきたと思ったら、星全体が上に上がっていったのです。
そして行き着いたところは、言葉に表せないほど美しく愛に満ちた場所だったのです”

“それから、スフィアは6次元に存在するようになったというわけですね”
パドラスは、心の中でスフィアの情景を描いてみた。
色とりどりのエネルギーのみなぎる星スフィア。
楽しく喜びに満ちた美しい星。
そこでは誰もが本物の幸せを手に入れることができるのだろう。

“僕もいつか行ってみたいな”
“あなたが5次元の体に完全に変われば、いつでも行くことができますよ。
そうしたらご案内しましょう”
ヴィーナの顔が、ピカーっと美しい紫の光を放った。


更新日:2023-03-21 12:42:46

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