• 20 / 68 ページ

第4章・・・【宇宙はバラエティーに富んでいる】

パドラスは、いつものように地球の方向に開いた窓辺に座って、気ままな夢を描いていた。
ヴィーナがやってきて隣に座ると、窓から外を見て誰かに手を振ったようだった。

“ほら、私の故郷の仲間たちが通りすがりに挨拶していったわ”
“えっ、僕は何も気が付かなかったな”
“オーク号は今天の川銀河を抜け出て、隣のギャラクシー、ピュアブルー(まっさお)銀河に入ったのよ。
それで、よく帰ってきたねって、挨拶しに来てくれたのです。
私はこの銀河の生まれなんですもの”

“そうだったのですか。でも僕には何も見えなかったし、聞こえなかったな。。。”
“それは、まだあなたが完全に5次元の体にはなっていないからでしょう。
私の仲間たちは6次元なのです。
体がないので、宇宙を旅するにも宇宙船に乗る必要がないのです”
“体がないって空気みたいなのですか?”
“いいえ、体がなくてもエネルギーですから、空気とは違いますよ”

“最近、僕はいろいろなことを思い出してきたんです。
ここでこうしていても、確かに昔、今と同じように宇宙を旅したことがあったこと知っているんです。

僕の生まれ故郷も思い出しましたよ。
僕の生まれた星は、青いベールがかかったように、いつも夕暮れなのです。
セムの星とちょっと似ているようですけれど、全然違うのです。
だって僕の星はちゃんと生きているのですから。
静かで美しく、とても神聖でした。
僕はよく一人で散歩をしたものでした。

一日の終わりが近づくと、星がたくさん見えてきて、まるでダイアモンドの宝石箱をひっくり返したように輝くのです。
まぶしくて、地球に太陽が射すのと同じように周りが明るくなり、木や花や動物たちが活気づいて、全ての生き物が命の営みをするのです。
そして明け方には星が一つ一つ消えてゆき、また静かな美しい霞のような青い世界に戻ります。
だから僕は地球にいるときも、いつも夕暮れ時が大好きで、とても懐かしく、ずっとこのまま夜が明けなければいいと思ったものでした”

“ステキな星ですね。夜と昼が地球とは反対なのね”

“それからオーク号の仲間たちの、本当の体が見えるようになったんです。
サイラは長い金髪だと思っていたら、彼女の頭の周りを金色の雲のようなものが漂っているし、ジャラの黒い髪は細いスパイクになって全方向に向いているんです。
理由を聞いたら“このスパイクは周りの動きを監視するレーダーなんだ”って言っていました。
“そうそう、彼は優秀な戦士だから、きっと敵と戦うときに必要なものなのでしょう”

“セムは顔に合わない大きな眼鏡をかけいると思っていたのですが、眼鏡じゃなくて彼の目だったのですね。
それから、カぺルはやたらと背が高いジャイアントかと思っていたのに、最近では僕たちと同じくらいの背になりました”
“カぺルはね、7次元の体から5次元に入るのに苦労していたようですよ。
7次元の体の方が大きいから。でももう慣れてきたみたいね”
“そういうことだったのか。
それからカぺルはやたらとウィンクをすると思っていたら、彼の眼からは、何か言うたびに光が出るのですね”
“そうよ。カぺルは煌めく瞳を持つ男。

それではテイランはどう?”
“隊長は、おかしいんだけれど、全くの地球人なんです。
でもかなり年はいっているんじゃないかな。
いわゆる神様のイメージなんですよね。
髪も髭も長くて、昔ふうのローブを羽織っていて、なんか杖みたいなものを持っていて”
“ははは、それはね、テイランは地球で神様をやっていたことが多いからなのよ。
一時に何人もの神様の役を引き受けたこともあるらしいわ。
それでその癖がぬけないのよ”
“ほー、それは大変だったんだな。
いつも神様らしくしていなくてはならないなんて”
“そうよ、なるもんじゃないわね”

“そしてヴィーナ、あなたは紫のケープを被っていると思っていたのですが、あなたの顔は紫の空洞になっているのですね”
“ええ、目も口も耳のないの。でもちゃんと見えるし喋れるし、聞こえるわ”

一息つくと、ヴィーナは静かな口調で語り始めた。
“私の星の話をしましょう”

更新日:2023-05-08 08:51:30

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

セイクリッド・オーク(聖なる樅)・ギャラクシーの旅